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妖怪・風習・伝奇

太山みせるさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

屋根裏の蛇女
長編 2023/12/31 00:22 8,176view
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清美の実家は某地方の田舎にある
家族は祖父母と両親、兄と姉の7人で、家は平屋で古く、大きくてとても頑丈だ

中学生のある日、翌日が休みだからと夜遅くまでゲームをしていると、天井の上をズルッズルッと大きな何かが這う音がした
蛇が屋根裏に入ったのかと思ったが、音の様子から、人間並みの太さのモノが這っているような感じがした
日本にそんな太い蛇はいない
とすると……お化けだ!
清美は怖くて、その夜は眠れなかった

翌朝、家族にそのことを伝えると、
「そうかお前もとうとう、この家の秘密を知ったか!」
と全員にニヤニヤされた

「どんな秘密よ?私以外は知っているの?何なのあれは?」
そんな清美に父親は、
「この家はな、時々屋根裏を這うモノが出るんだ。でも大丈夫、怖くはないよ。何故ならそれは、ご先祖様だからだ」
と、したり顔で言った

「何でご先祖様が這い回るの?そんなのおかしいじゃん、幽霊だとしても何で歩かないで這うのよ?」
「清美よ、屋根裏を歩く者がいれば、それは泥棒だぞ。生きている悪い奴だぞ。そっちの方が遥かに怖い。天井から音がしても、這っていたらご先祖様だから安心しなさい」
そんなことを言われても納得できない
兄や姉に聞いたら、2人とも数年前に初めて這う音を聞いた時は、清美と同じように怖かったと言っていた
子供たちには極力怖がらせないよう、気がつくまでは言わないことにしていたらしい
流石に祖母や母には、ちゃんと嫁ぐ前に説明をしたという

「ところで、どんなご先祖様なのよ?」
清美の疑問に、祖父が応えてくれた

※※※

清美の祖父の父、つまり清美の曾祖父が、まだ若かった頃の話だ
曾祖父には千代という姉がいた
千代は大変美しく、優しくて大人しい娘だった
隣村の男に熱心に口説かれて嫁に行ったが、
「こんな気持ちが悪い女は要らない」
と2年後に送り返されてしまった

家族はそんな彼女を憐れんで優しくしたが、千代の奇行の凄まじさには驚きを隠せなかった

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コメント(5)
  • kanaです。待ってました!!太山さん!!

    2023/12/31/01:47
  • 文書力が凄い。
    面白かったです。

    2023/12/31/02:03
  • 怖いというより、面白い。ラストがね。

    2023/12/31/21:13
  • 有難うございますm(_ _)m
    今年も宜しくお願い致します

    2024/01/01/15:55
  • 悲しい物語であり、暖かい物語でもある。
    ありがとうございます。

    2024/07/20/22:44

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