「タケシくん、マモルくん。昨日ホノカと砂場で面白いもの見つけたんだって?
オバさんも見たいなあ。
はい、これ、手袋とスコップ。砂場の砂は汚いから直接触っちゃダメよ?
そう、ちゃんとつけて。
じゃあ、昨日掘った場所をもう一度掘ってみましょうか。
オバさんにも、その人にご挨拶させて?」
空はどんよりと曇っており、今にも雨が降りだしそうだった。
時折、肌寒い風が吹いてくる。
三人は泣きそうな顔で、黙々と砂を掘った。
やがて、穴の深さは昨日と同じくらいになった。
「いない……」
マモルが言った。
タケシもホノカも顔を見合わせた。
昨日と同じ深さまで掘ったのに、そこにそれはなかった。
厚手のビニールに包まれた、陰鬱な表情の男の顔は。
「ねえー三人とも。穴の中にいた男の人、見つかった?」
子供たちの背後から、ホノカの母親の、煮詰めたハチミツのように、甘ったるい声が響いた。
〈了〉
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