ある人気者の末路
投稿者:太山みせる (35)
明るくて、面白いことを考えてはクラス中を笑わせていたが、決して人を傷つけるようなことは言わなかったという
Bは、同学年だけでなく先輩や後輩からも人気があり、先生や保護者からも一目置かれていた
友達もたくさんいて、たくさんの女の子から好意を寄せられていた
本当に、Bは人気者だった
3年生になったら、生徒会長で部活は部長で、勉強もスポーツも何でも、また活躍するんだろうな…誰もがそう信じて疑わなかったことだろう
※
そんなある日、B父が突然、事故で亡くなった
あまりのことに、皆、驚いた
「あのB父さんが…」
突然すぎる有名人の死に、誰もが戸惑った
※
葬儀にはたくさんの人が参列し、B父を惜しんだ
「B …」
Aは悲しんでいるBを慰めたかったが、声が掛けられない程にBは号泣していたという
その姿に誰もが心を打たれた
大好きな父親が亡くなったのだ、それも突然に!
ところが次の日も、また次の日も、Bが心配で会いに行くと、Bは号泣していて話しかけるどころではなかった
会いに行く度に、大声でずっと泣いているのだ
周りもざわつき出した
ちょっと様子がおかしくない?
悲しいのは分かる、でも、泣きすぎでは?
人間はどんなに悲しくて泣いても、一旦は収まる
その後で、また思い出しては悲しんで泣く…というのを繰り返したりはするだろうが、何時間も泣き続けることは、普通はできない
Bは悲しみ過ぎるほどに悲しんで、泣き過ぎるほどに泣いた
そしてとうとう、頭がおかしくなった
その時の彼を知る人たちの衝撃は、いかほどばかりであっただろうか
急いで病院に!と思うだろうが、何故かB母は息子を医者に見せようとはしなかった
父が亡くなった今、Bには母しかいないのに!
「何してるの!」
周りの人たちが、早く何とかしろとB母に詰め寄ったが、B母はずっと他人事のような態度だったという
人はどこで人生が変わるか分からないですよね。
やっぱり、環境が全て。
誰もが絶賛するほど良い人に闇を感じてしまう自分は毒されすぎなんだろうな