ある人気者の末路
投稿者:太山みせる (35)
短編
2023/11/03
13:55
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現在なら、保護者でなくても何とかできたかもしれない
だが50年以上昔のこと、保護者の承諾もなしに、他人が勝手に病院に連れて行くことはできなかった
Aの両親も「今ならまだ間に合うから」と、何度もB母に病院に連れて行くように言ったが無駄だった
Bは高校にも行けず、彼の人生は中2で終わった
※※※
「Bさんは今どうしてるの?」
私は聞いた
「そのままだよ、母親と家でずっと暮らしているよ」
この話をしてくれたAは、大人になって上京した
故郷は遠いから、数年に一回しか帰らないという
Bは昼間、奇声を発しながら近隣をフラフラ歩き回っているそうだ
彼を知らない人は、その昔、彼がどんなに優秀だったかなんて知りもしないだろう
何故、 B母は病院に連れていかなったのだろう?
今にして思えば、 B母は軽い知的か精神の障害があったのかも知れない、とAは言っていた
※
その昔、AはよくBと将来の夢を語り合ったそうだ
Aの夢は野球選手や会社経営者など、その時によってコロコロ変わったが、Bは一貫して、人を助ける仕事をしたいと言っていた
具体的に何になりたいのかと聞けば、まだ決まってないけど、人を助ける仕事を見つけてするんだ!と毎回話してくれたという
Bは優秀だから何にでもなれるよと返すと、嬉しそうにしていたらしい
その時の、未来に思いを馳せたBのキラキラした目が、忘れられないという
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人はどこで人生が変わるか分からないですよね。
やっぱり、環境が全て。
誰もが絶賛するほど良い人に闇を感じてしまう自分は毒されすぎなんだろうな