散々な路上教習
投稿者:Mine (24)
「冗談なもんか。君はここで俺と死ぬんだ よ。」
目を血走らせながら教官は言った。
カンカンカンカンカンカンカンカンカン……
警報が鳴り響き、遮断機が降りた。
「イヤァァァァァァァァァァァッ!!」
「全部君が悪いんだよ。人の気持ちを踏みにじるからこうなるんだ。人間としてやってはいけない事を君はしたんだ。自業自得さ。」
k子さんは半狂乱になりながらブレーキを踏んでいる教官を力任せにボカスカ叩いたり押したりするが小柄なk子さんではガタイのある教官はびくともしない。
プァーン!
線路の向こうから貨物列車がグングン迫ってくる。
「大丈夫。痛いのは一瞬だから。お互い派手に散ろうよ。な?」
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない……
死に物狂いで渾身の力を込めて手錠から手を引っ張る。
そしてついに———。
ズルッと手を引き抜く事ができた。
急いでドアを開けて車外へ出ようとした時。
「テメェ!コラ!逃げんな!」
教官が叫んで後ろから服の裾を掴まれたが、必死の抵抗でそれを振り解く。
そのまま無我夢中で線路脇の草むらに飛び込んだその刹那。
ガシャーン!
凄まじい衝撃音と共に列車が車に衝突した。
列車は耳をつんざく摩擦音を響かせながら横転した車ごと走ってゆく。
100メートル以上先で列車はようやく止まった。
k子さんは呆然とその場にへたり込み、皮が捲れて血塗れになった左手を眺めていた。
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病院で手当を受けているk子さんの下に事情聴取の為に警察がきた。
そこで聞いた事によれば教官は即死だったとのこと。
その際に刑事さんから言われた事は今も忘れないと言う。
「あなた、身体が小さくて命拾いしたね。手も小さいから、手錠から抜け出せたんだよ。」
「ずっと小柄な身体がコンプレックだったけど、あの日以来ずっとこの身体に感謝してるの。」
と、k子さんは朗らかに笑った。
ハラハラドキドキ助かって良かった。
メンヘラマッチョはえぐいw