導かれて
投稿者:Mine (25)
昔、バイト先にノゾミさんっていう俺の2コ上の女性の先輩がいた。
ノゾミさんはバイトリーダーという立場で通常業務の他に新人研修なんかも任されていて、俺もノゾミさんから仕事のイロハを教わった。
そのノゾミさんと昼食を共にする機会があって仕事のこと、休日の過ごし方、犬派か猫派かとか、そんな他愛もない事を喋りながら食事をしていた。
休憩室のテレビからはお昼のワイドショーが流れていて、昨今の不登校児の増加について有識者達がそれぞれの意見を披露していた。
「不登校かぁ。私も小学生の頃不登校だった時期があったなー。」
向かいに座ったノゾミさんがテレビを見ながら遠い目をしてしみじみと言う。
「不登校って言っても私のはそんなに重たいやつじゃなかったけどね。せいぜい1か月位で学校に復帰できたし。けどあの事件は未だにトラウマだよ。」
雑談のネタも尽きてきた頃だったし俺も興味があったから、退屈凌ぎにとノゾミさんが不登校のきっかけになったというその事件とやらの顛末を語ってくれた。
ノゾミさんが小学6年生の時の話。
当時は同じ学年の女子の中では背が高い方で、女子バスケ部で活躍していてそれなりに充実した生活を送っていたと言う。
ノゾミさんの学年では朝の会と1時間目の間の15分間、クラス全員が私語厳禁で図書室から借りてきた本を読む読書タイムというのを設けていた。
この時ノゾミさんが読んでいたのは大して面白くもないティーンズ向けの文庫本だった。
漫然とページをめくり続けて物語も終盤に差し掛かった時。
(…ん?)
ページの上部の余白に手書きの文字が書き込まれていた。
“図書室の海外文学の棚。
1番下の段の赤毛のアン。
50ページで待ってる。”
よくあるしょうもないイタズラ書きだ。
以前の借主が書いたんだろうか。
ノゾミさんはその落書きを無視して意識をまた物語の方に戻した。
読書タイムが終わり、1時間目が始まる頃には余白の書き込みの事は頭から消えていた。
後日、読み終えた本を返しに休み時間に図書室に行き、返却手続きを終えたノゾミさんは例のイタズラ書きをふっと思い出す。
まぁついでだし、とからかい半分で海外文学の棚に向かう。
1番下の段の端っこに確かに赤毛のアンがあった。
本を手に取り50ページ目を確認する。
“見つけてくれてありがとう。
1階の保健室の向かい。
右から2番目の掲示物の裏のメモ。”
ゾッとしました。
ドキドキしなが読みました。
犯人はさやかだと思う。
私も、ドアスコープで泥棒が覗いているのを覗いてしまいトラウマです。
犯人はどうやってノゾミさんがトイレに来る日を特定できたんだろう、と思ったけどポスターの裏に貼ってあるメモが残ってるか否かで判断してたんだな
“このメモを持って1人で来て”
読みやすい。ジワジワ怖い。
ゾッとする話で好き。
ただ
「図書室で借りた本」なのにみんなしてノゾミさんがターゲットだと思い込んでるのが謎。
どう考えても無差別的犯行。
「ノゾミさんがターゲットである話」としては今一歩に思う。
ノゾミ不在時に犯人がこっそり借りてる本に書き込んだ説
ノゾミさんがいない隙に書いたとして、「借りたときには書かれてなかった」って話がないと根拠として成立しないのでは。
まじで怖い
じんわりとくる感じ😱😨