「うん・・・組のジャージ・・・」
「うっ・・・まぁ、ないよりマシか・・・」
九郎と朽屋は、まるで姉妹のように仲良くシャワーをあびて、涙の跡を流しあった。
シャワーを浴び終わり、組が用意した黄色いジャージに袖を通した朽屋。
「うわぁ、姐さん・・・日本刀持ったらキルビルみたいかも」
ちょっとポーズをとってカッコつけて見せる朽屋。
時計を見るとあれから3時間ほど経っていた。
恐らく今頃はもういろいろ片付いてみんな落ち着いた頃だろう。
「ニンニンも帰っちゃったかな~」今更ながら、後片付けをすべて忍足に任せてしまって、
申し訳ないと言う気持ちが湧いてきた。
「じゃ、イコか。もう組長たちも戻って来てるかもしれないし」「ハイ」
・・・だがその時、階下から銃声が聞こえ始めた。トカレフの重たい銃声だ。男たちの叫び声もする。やがて激しい連射音。けたたましく鳴り響くのはAK47ライフルの音だ。乱射している。ただごとではない。
「ヤバイ、下で何か起こってる。まさかこんな時に抗争??」九郎が警戒する。
その時朽屋の携帯が鳴る。朽屋や忍足をバックアップする組織からだ。
「ハイ、朽屋」
(こちらツグミ隊。忍足大尉からの連絡を受け、渋谷区松濤の現場周辺を包囲中でしたが、現場から激しい銃声が聞こえています。詳細確認中。少佐は今どちらにおられますか?)
「私はその現場の3階室内にいます。銃声は階下・・・おそらく1階。これから降りて確認してみます。忍足大尉は無事ですか?」
(先ほどから呼びだしておりますが、連絡が取れません。ご一緒ではありませんか)
「現在別行動中。忍足大尉にはひきつづきコールを続けてください。私はこれから降りてみます」
(了解、お気をつけて) 朽屋の不安が募る。
「九郎、ウェザビーもう一度貸してくれる?」
そう言って九郎の方を向くと、九郎はすでに戦闘の準備を始めていた。
戦闘用ハーネスを装着し、トカレフを左脇のホルスターに、右大腿部には大型のナイフをセットしていた。
「ウェザビーの弾丸は残り2発しかないよ」そう言ってポケットから2発取り出す。
「とりあえず充分よ。ありがとう」朽屋は弾丸を額に当てながらスペルを説く。
先ほど同様再び青い光に包まれる弾丸。朽屋はそれを装填したウェザビーを軽く構えた。
「九郎、あなたはここに残って。嫌な予感がする。さっきあなた、抗争かもって言ってたけど、この屋敷は包囲されているの。それを抜けて入ってこれるヤクザ屋さんはいないわ。
だとしたら、下で銃撃を受けているのは魔物かもしれない」
「だけど姐さん!」
「あなた、若の左手の代わりになるんでしょ?だったら生きて若に会いに行かなくちゃ。
そこのベランダから外に逃げられない?」























kamaです。朽屋瑠子シリーズ第11作目は、対バルベリト戦です。
今回は登場人物も多いですが、個性ある人たちが多いので好きになっていただけたらいいなーと思います。尚、ネタバレですが、文中8pでヤクザの事務所が「渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5」となっていますが、これはもちろん架空の住所で、知ってる人は知っていると思うのですが、1992年に公開されたウッチャンナンチャンの主演映画「七人のオタク-カルトセブン-」で、主人公の南原さんが無線オタクをつかまえるための罠として流し続けた謎の暗号「・・渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5・・渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5・・」というのが元となっております。今回のお話では渋谷区を舞台にしたかったためです。ラストも朽屋がキルビルやってる姿を想像しなから読まれると、楽しさ倍増かと思います。ロマンホラーということで、お楽しみください。
面白かったです。一気に読みました。
今回も面白かったです
このサイトの他の作者の作品も、朽屋瑠子にかかれば全てハッピーエンドになるのに!
↑kamaです。コメントありがとうございます。19ページもあるのに一気読みしていただいてありがとうございます。感謝!!
個人的に朽屋瑠子シリーズをおもしろいと言ってもらえるのが一番うれしいです。自分で読んでて一番おもしろい作品ですからw
今朝も会社に行く前に「どこか間違いはないかな~と読んでたら、途中からおもしろくなってきて止まらなくなり、あやうく遅刻するとこでした。フ~アブナイ~~
瑠子シリーズ今回もドキドキしながらも楽しく読ませて戴きました。九郎ちゃんと瑠子のバディ、今後が楽しみです。
読んでいるうちに目が冴えてしまい寝不足です。
今回のも面白かったですよ。
でも、組長が死ぬなんて?
気になるのは九郎が朽屋の体を拭いてるときに赤ちゃんみたいって笑うとこがあるんですが、えっ、朽屋の体にベビーなところがあるってことですか?!
↑kamaです。コメントありがとうございます。
ドキドキしながらみていただいて、本当に感謝です。
寝不足にして、スイマセン!楽しんでいただければ本望です。
朽屋の裸で赤ちゃんみたいなところ・・・たぶん、肌ですかね?わかりませんが。
・・・組長と桐原が死ぬのは、実は僕も葛藤がありました。なにも殺さなくてもいいんじゃないかと。逆にここでニンニンを死なせてしまおうかなとも思っていました。
でも、ニンニンが死ぬと呼び出した朽屋の責任問題にも発展しそうだし、明るく終われない気がしたのでニンニンは生かしました。組長と桐原さんももったいなかったですが、彼らはやはりヤクザですから、極道には極道の道があります。死んで花実が咲くというか。実際彼らは作品内で人殺しをしたと語っていますから、作品を読んだ人の中には人を殺したやつがなぜ生きながらえているのかと反社に対して嫌悪感を抱く方もいると思います。だからこのような結末が似合いだったのかな、と思います。問題は九郎ですね。彼(彼女)は本編内で5人殺してると言ってます。なのに最後は明るく朽屋と仲間になりそうな雰囲気ですが・・・果たして殺人を犯しているキャラが普通に受け入れられるのか・・・というのは非常に難しい部分もあると思います。ボクの作品の作り方からすると・・・九郎も組長と同じようにどこかで死ぬ運命にあるのか・・・あるいはこの呪縛を説くために、九郎は実は殺しなんかやってなかったという設定を用意するか? 子供時代からの洗脳で心神喪失状態だった?
さてどうなるでしょうか。本文内では自分の死をいとわない行動が目に付く九郎ですから、これから先も死線に最も近いキャラとして登場していくかもしれないですねぇ。・・・先の事は判りませんね。
これを初めて読んだんですけど面白かったです!
他のも見てきますw
文体が面白いだけでなく、作者の深い知識に感心させられる。
アクションの表現もいいので一気に読んでしまう。
シリーズの他の作品も急いで読みたいし、今後も追いたいと思った。