高級魚の豆知識
投稿者:竹倉 (9)
「…テトロドトキシンという毒。ふぐ一匹で何人の人間が殺せると思う?」
急に物騒な話になってきたなぁ。
心なしがTさんの表情にも影が差してみえる…
「肥えた真ふぐだと、一匹で35人の人間を殺せてしまうんだよ。あはは…凄いだろう?ははは。」
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………先程までうるさかったセミの鳴き声は一切聞こえない。
Tさんの声だけが妙に耳にまとわりつく。
「俺は釣りが好きなんだが、ふぐってさ、針にオキアミつけておけばさ、落としても投げても馬鹿でも○○◯でも釣り上げる事ができるわけよ。それはもう何匹も何匹何匹も何匹もさ。」
「考えてもみなよ。堤防で釣れるクサフグやアカメフグだって人間を殺す事ができるんだよ!」
「その辺りの海には簡単に手に入る猛毒がわんさかと泳いでいるんだよ!」
そう語るTさんは明らかに楽しそうだ。日が沈み始め、逆光に差し掛かりTさんの表情は伺いしれないが、その雄弁さを見る限り、やはり楽しいのだろう。
自分はといえば、少々居心地の悪さを感じつつ、如何にして話の腰を折ってしまおうかと思案中であったのだが。
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「少しずつさ、少しずつ毒を溜め込んでいくんだよ。毒をさ。まるで人間のストレスのようなもんだと思うだろう?あははは…」
Tさんは完全に逆光に飲み込まれていた。
「ナンニンモナンニンモ…。」
ん?
「…イヤナヤツヲ、ホフリホウダイサ…。」
最後に放った言葉は聞き取れなかった。
そしてTさんは
「長話悪かったね。お土産は早めに食べてな!」
笑顔でそう言って隣家の門をくぐって行ったのだった。
自宅に吸い込まれるその瞬間、目が合ったTさんはやはり笑っていた。
これって実話ですよね?
ひよ子で笑った。親に不審者みたいな目で見られた。これもホラーにはいるんかな?
実はちょこっとだけ実話
立派なホラーですよ!
面白かった。文章もうまい。
最後のひよ子は吹いたwwwww
「釣り」