おばあちゃんが嫌いなもの

今年90歳になる私のおばあちゃんの話。

おばあちゃんには2つの嫌いなものがあった。

1つ目は甲子園のサイレン。

おばあちゃんは幼いときに福岡大空襲を経験していた。

その空襲により当時仲の良かった友達を何人も亡くしておりいまだにトラウマらしい。

そのため空襲警報に似た甲子園のサイレンは今でも苦手とのこと。

2つ目、エビがだめらしい。

苦手な理由はこれも空襲のときの思い出からだった。

空襲から数日経った頃、おばあちゃんが同じクラスだった女の子と川で遊んでいたとき

「うわー〇〇ちゃん(おばあちゃんの名前)見て、エビがいっぱい泳いどる！」

女の子が指さす方を見ると確かに大量の小さなエビがいた。

その数はものすごく焼けた橋の下に密集しており、橋の影と言われても気づかないほどだったそうだ。

二人は走ってその場所に近づくとおばあちゃんが何かに気が付いた。

エビの塊が人の形をしている。

幼いながら何か嫌なものを感じたおばあちゃんは、女の子の手をひっぱり急いでその場を後にしたらしい。

結局そのあと川には近づかなかったのでエビが何に群がっていたのかは分からないそうだが、

未だにあのヒトガタを鮮明に思いだすのでエビは嫌いらしい。