追いかけてくる※※
投稿者:haruton (25)
お袋さんは聞き返した。
どうやら親父さんから聞くと虫がたくさん出る家には、虫除けの札を貼ることがあるみたいなんだって。
え?
そんな御札で虫が出てこなくなるなんて信じられないって?
それが効くらしいよ。
知らんけどね。ふぉふぉふぉ。
ところでTは学校に馴染めたのか、だって?
Tはね、それはそれは新しい学校に馴染めたんだよ。と言えたら良かったんだけどね。特定の友達は出来なかったんだよね。
まあ前の学校みたいに意地悪されることはなかったけどさ。結局Tは一人でいるほうが気が楽な人間だったかもしれないね。
余は少しTの気持ちが分かるなぁ。以前よりは、平和な学校生活を送れていたんじゃないかなぁ。
で、ここからが本番なんだけどね。
Tは不思議な経験をしてしまったんだよ。ねえキミ。
不思議な経験ってなんだと思う?
その日もTは学校から帰ってきて、ゲームで遊んでいたんだと思う。家にはTだけだった。ご両親は共働きだったんだよね。Tはそのうちゲームに飽きちゃったんだよ。なにせそのゲームは何回もやり直して遊んでいたからさ。
次はどうしようかと考えていたTは閃いたんだよ。
まだこのアパートの周りを探索していないってね。
子どもって好きだよね。家と家との間の狭い空間とか。
余もそういうところで日向ぼっこするのが大好きさぁ。ふぉふぉふぉ。
Tは鍵っ子だから、いつも持ち歩いている鍵を引っ付かんで家に鍵をかけた。そしてアパートと隣の家との間を歩いて裏に回っていったんだよ。そこには季節の野花がちらほら咲いていた。でもそれしかなかった。Tはすぐに飽きてしまった。
だが、すぐに次のアイディアが浮かんだ。
そういえば竹林に入っていない、てね。
早速Tは竹林の近くに行った。
竹林を前にしてTはなんだか鳥肌がたったんだよ。
何故かって?
さあね、なにかを感じたのかもしれないなぁ。
でもTは男の子だったからさ、こんなことで怖じ気づいていられないと思ったんだよね。怖い気持ちを端においやって竹林に入っていった。
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