夏休みに田舎であったこと(加筆修正版) ※「愛なき子」前日譚
投稿者:kana (210)
真っ青な夏空に、真っ白で大きな入道雲が湧き上がる。
今年も暑い夏がやって来た。
夏の記憶は色濃く、楽しく、美しく、そしてどこかもの悲しい。
夏になるといつも思い出すのが、北海道で過ごした小学3年の夏休み。
あの夏の日の出来事です。
その頃、東京で暮らしていたボクと両親の三人家族は、
この夏休みに北海道N町にある父方の実家へと帰省する計画を立てていました。
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ボクにとってはもう何度目かの北海道。だけど、ほとんどは真冬のお正月ばかりで、
今回のように夏の北海道へ行くのは1年ぶり2回目の事となります。
「おばあちゃん、元気かなぁ・・・?」
N町の実家には、父の兄である叔父さん・叔母さん、イトコにあたるイズル兄ちゃんに、ボクと同い年のユウキがいます。そしてすごく優しいおばあちゃんも。
ボクは親戚の中でこのおばあちゃんが一番好きです。でも今は体を壊して入退院を繰り返しているらしく、それがとても心配でした。
今回のボクの夏休みの目的も、まず第一におばあちゃんに会ってくること。次にユウキやイズル兄ちゃんとまた一緒にたくさん遊ぶこと。そして、北海道のおいしいものをいっぱい食べてくる事でした。
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羽田空港から飛行機に乗り、待望の北海道へやってきました。
千歳空港に降り立って空気を吸い込むと、トウモロコシの甘い匂いがします。
「北海道の空気がおいしいってこーゆーこと?」と父に聞くと
「母さん、タカシがまた変なこと言い始めたぞ」と笑われました。
空港にはN町の叔父さんがクルマで迎えに来てくれていて、ボクらはそのクルマに乗って
一路、父の実家へと向かうことになりました。
クルマから見える景色は自然がいっぱいで、時々牛や馬、牧畜のためのサイロも見えます。
遠くには青い山々が連なり、空は高く、ゴジラのような入道雲がまさに夏と言った感じなのに、木陰にはまだアジサイが咲いていたり、そこに真っ赤なアキアカネが飛んで来たりと、
なんだか季節が凝縮されたような不思議な風景を眺めることができました。
これが北海道の短い夏、というわけです。
叔父さんの家があるN町は田舎と言っても千歳空港からそれほど遠くなく、ドライブの時間もあっという間に終わってしまいました。
実家に着くと、そこには叔母さんとイズル兄ちゃん、その後ろから同い年のユウキも元気な顔を出して出迎えてくれました。イズル兄ちゃんは高校生になってますます背が伸びて、叔父さんよりも高くなっていてちょっと怖いくらいです。
「タカシちゃんおっきくなったねぇ~」
なんて言われたけれど、イズル兄ちゃんにはかないません。
一番会いたかったおばあちゃんは現在入院中。
明日にでもみんなでお見舞いに行こうという話になりました。
kamaです。夏が来るまで温めておきました。「夏休みに田舎であったこと」の加筆修正版です。
こちらのお話は以前ボクが書いて大変好評をいただきました「愛なき子」というお話の前日譚とんなります。そう、こっちの話の方が先なのです。愛なき子はこのお話の主人公が社会人になってからのお話です。
・・・ではなぜこちらを後にしたかというと、おばあちゃんがこのお話で亡くなってしまうので、愛なき子より先に公開するとネタバレになってしまうからですね。
ぜひ、今作を読んだ後で、また愛なき子も読んで見てください。
世界観が広がってより楽しめるかと思います。
夏の雰囲気っていいよね。
夏はジュブナイルな感じがいいよね。
愛なき子も今回のお話もとても良かったです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。怪談も、夏の思い出になるといいですよね。