なんで連れてった
投稿者:白と黒の旅人 (33)
「どうでしょう…霧が深くてよく分からなかったです。」と男性。
木の本数とかは詳しく覚えてないがなんとなくの景観が似ていたので聞いてみた。
そのまま進むと次は道祖神としてなのかお地蔵様を見つけた。
「お地蔵様あるってことはそろそろ山道の始めの方かな。」と憶測を立てた。
右に1つ、しばらく進むと左に2つ、さらに進むと左右に1つずつ。
お地蔵様沢山あるなーと思ったら、また右に1つ、左に2つ、左右に1つずつのお地蔵様を見た。
もうこの時点でなんとなく察した私はバックミラーを見て「後ろのお二人さん、最近何か困ったことない?」と聞いてみた。
男性が「いや、そういうことは特になかったですね。どうしてですか?」と答えたのでこの時点で何かを連れてきていた説は切り捨て。
「いや、お二人とも、俯いたまま山道を登ってたり、クラクション押しても気づかなかったりしたもんで。なんか考え事でもしてましたかね?」と聞くと
「そう言われると、確かに。私たち、そもそもなんでキャンプ場に向かってたんでしょ?」と本人らもあまりよくわかっていない様子。
そしてこの話の最中、またしても左右に1つずつお地蔵様を祀っている道を通った。
「…やっぱり、ずっと同じ道通ってるな。」
さすがに3回も通ると気づく。傾斜の道をブレーキ踏みながら運転しているはずなのにずっと同じ立て方のされたお地蔵様に出会うのだ。
「ねぇ、周りに何か見えたりとか聞こえたりとかしましたか?」と2人に聞いても特に何も無かったと首を横に振るばかり。だが、その2人も異常に気づいた様子。
「……ただ迷ってるだけならいいんだけどね。」と言いつつ、私は車のデジタル時計を見た。時刻は19時を回ったばかりでほぼ時間が経っていない。
「……お二人さん、後ろのトランクの中に数珠入った鞄無い?」と伝えた。2人は直ぐに何個かあるうちの鞄のひとつを見つけ出した。
「その中の数珠、1個ずつあげますよ。」
一度車を停めて2人の方を振り向き、私自身は自分用の数珠を取り出して手首に巻いた。
「はぁ……ありがとう…ございます?」と2人。
数珠というのは人間、なんとなく手首に巻いたり拝む時みたいに親指に引っ掛けて持つことが多いので2人ともそんな感じで身につけた。
車を再出発させると5分とかからず山を降りることが出来た。
「一体、なんだったんでしょうか?」と男性に聞かれたので
「キャンプとかするなら知っといた方が良いよ。私はここら辺出身じゃないのでどういうものかは分かりませんが、私も山の方で暮らしてますから。山ってこういうことがよく起こるんです。何かしらそういう数珠とかあった方がいいですよ。」
と教えた。
実際、山というものは海並にヤバいのがいたりする。
というのも、山の中腹や谷間は飛び降りしやすい。それこそ海以上に。身を踊らせれば数秒後には岩肌に叩きつけられたり浅い川辺に叩きつけられる。波に揉まれて溺れるよりマシなのかどうかは分からないが溺れるよりはと選ぶ人も確かにいる。
それに加えてそもそも山自体が有名どころで言えばヤマノケとかが出るような場所とされているから危険この上ない。個人的にはキャンプ場でキャンプする時も周りに人が沢山いるシーズンでやりたい。山慣れしている人間でもそのぐらい恐ろしく感じるのだ。
最終、20時半頃にキャンプ場に着いた。そこで私は宿泊予定地に遅れた報告を電話で伝えた。
2人に持たせた数珠はそのままあげたし、一応ということでなんやかんや持ち歩いている塩をあげた。
2人が仲間と合流した時の話をすると、やっぱり結構探されていたよう。
特に理由も説明もなくキャンプ場を離れたからである。
2人の仲間にお礼を言われて、車に戻った時、よく目にする黒い人型モヤが車の近くにいた。
ソイツは私が近づくとこういってきた。
急にパワープレイしてて笑った
Tさんの破ぁぁぁ!!!は生ぬるい。やはり力技ですよby投稿者