しかし、高校時代から応援しているSが、たとえソロだろうと、
メジャーデビューのチャンスがある。
個人的には一人だろうと夢を掴んで欲しい。
迷った俺たちは、バンドメンバーに打ち明けることにした。
近くで別バンドと打ち上げをしていたバンドメンバーを呼び出し、
メジャーデビューの話、Sの葛藤の話を全て打ち明けた。
色々あって、結局朝まで話し合いが続いた。
結論としては、一人でも夢を掴めよ!ってことだった。
Sは涙を流しながらバンドメンバーの激励を一つ一つ噛み締めた。
そうして、Sのソロデビューの話は進んでいった。
まだデビュー前だったが、Sも自信がついたようで、
なんと奥手のSに彼女ができていた。
デビューを控えたシンガーソングライターとして、日々作曲や作詞に明け暮れる日々。
時々、Sは俺に音源を持ってきて、アドバイスを求めてきたりなんかしてた。
で、ある時Sの曲調ががらっと変わった。
これまでは正統派のバラードだったんだけど、
なんとなくサイケデリックというか、不思議なメロディー、歌詞になった。
何かあったのか?と聞くと、
海外のとある宗教にインスピレーションを受けた、と。
そして日に日にSは変わっていった。
話しかけても上の空だし、突然大声で歌いだしたりする。
Sの家に行くと、モスキート音みたいな音が延々と流れてる。
飯も全然食わないし、次第に誰かわからないくらい痩せていった。
彼女さんに連絡を取ったところ、
「怖くて近寄れない。別れ話も聞いてくれないから家を出てきた」
とのこと。
心配で外に連れ出したりなんかしていたが、
ある日ぱたっと連絡が取れなくなってしまった。
まさか自殺・・・?
不安がよぎり、Kを誘ってS宅に赴いた。


























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