悪魔とミュージシャン
投稿者:イエティ (51)
しかし、高校時代から応援しているSが、たとえソロだろうと、
メジャーデビューのチャンスがある。
個人的には一人だろうと夢を掴んで欲しい。
迷った俺たちは、バンドメンバーに打ち明けることにした。
近くで別バンドと打ち上げをしていたバンドメンバーを呼び出し、
メジャーデビューの話、Sの葛藤の話を全て打ち明けた。
色々あって、結局朝まで話し合いが続いた。
結論としては、一人でも夢を掴めよ!ってことだった。
Sは涙を流しながらバンドメンバーの激励を一つ一つ噛み締めた。
そうして、Sのソロデビューの話は進んでいった。
まだデビュー前だったが、Sも自信がついたようで、
なんと奥手のSに彼女ができていた。
デビューを控えたシンガーソングライターとして、日々作曲や作詞に明け暮れる日々。
時々、Sは俺に音源を持ってきて、アドバイスを求めてきたりなんかしてた。
で、ある時Sの曲調ががらっと変わった。
これまでは正統派のバラードだったんだけど、
なんとなくサイケデリックというか、不思議なメロディー、歌詞になった。
何かあったのか?と聞くと、
海外のとある宗教にインスピレーションを受けた、と。
そして日に日にSは変わっていった。
話しかけても上の空だし、突然大声で歌いだしたりする。
Sの家に行くと、モスキート音みたいな音が延々と流れてる。
飯も全然食わないし、次第に誰かわからないくらい痩せていった。
彼女さんに連絡を取ったところ、
「怖くて近寄れない。別れ話も聞いてくれないから家を出てきた」
とのこと。
心配で外に連れ出したりなんかしていたが、
ある日ぱたっと連絡が取れなくなってしまった。
まさか自殺・・・?
不安がよぎり、Kを誘ってS宅に赴いた。
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