ビビりは恥だが役に立つ
投稿者:Naminori/C (2)
何が何だか分からないが助かった…!
間に合ってよかった…!
そう思った次の瞬間だった。
ウォォオオ!!オォンオォン!!オォンオォンオォンオォン!!オォン!!!
今度はエンジンルームから凄い音を立てながら、車が小刻みにガクガクと振動し始めた…!!
言うまでもなく3人ともヤバイ雰囲気を瞬時に感じ取り、車内の空気が凍りついた。
「え?ヤバくね…。」
助手席のHが焦った表情で俺に声をかける。
俺は相変わらず右足に全力で力を込め続けていたが、ちょっとでも足の力を緩めたら今にも車が急発進して目の前のタクシーに追突するであろうことは、物凄いエンジン音を鳴らしながらガタガタと震え続ける車の挙動から容易に想像できた。
ニュートラルやパーキングギアでアクセルを踏んで空吹かししている状態とは明らかに違う…!
例えて言うなら、ブレーキを踏んだ状態で同時にアクセルを踏んでいるような挙動だった…。
Hの問いかけにも言葉も出ずにただただ動揺し続けて何もできない俺に、後部座席にいたMが突然冷静な口調でこう言った。
「とりあえず、エンジン切ってみたら…?」
さっきまで一番ビビり散らかして騒いでいたMが何故かこの時はとても冷静で、且つ最善の提案をしてきた。
確かに。
と思い、Mの言葉で一瞬落ち着きを取り戻した俺はすぐにセルを回し、エンジンを止めた。
なんてことはなく、エンジンは普通に止まり、車は静かになった。
そして、恐る恐るもう一度セルを回し、エンジンをかけてみると、先ほどまでのような異常な挙動が再び始まることはなく、車は通常のアイドリング状態に戻った。
「治ったわ…。」
「お前急に冷静じゃん…。」
全員がホッと息をついた。
信号が青に変わり、俺はゆっくりと車を走らせた。
その後また同じことが起こらないかブレーキを踏むたびに俺は不安感を感じながら運転したが、二度とそのようなことが起きることはなかった。
途中で寄ったファミレスでも店員に「4名様ですか?」などと言われるようなベタな怪談話もなかった。
帰りの道中、やや重い雰囲気に包まれながらも、俺たちは無事に各々の家まで帰還した。
車の持ち主である俺はその日以降もしばらくの間、またやばい現象が起きるのではないか、事故に遭うのではないか、などと車に乗るたびに一抹の不安を感じ続けたが、結局それっきりおかしなことが起こることはなく、不安が現実になることはなかった。
この程度のことで済んで本当によかったと今でも思っている。
やはり、心霊スポットなんかに行くもんじゃない…。
身を持ってそのことを痛感し、あの日以来、そういった遊びをすることはしていない。
事故にならず良かったですね。
ビビリの友達👍