青い顔の看護師
投稿者:ねこじろう (147)
ベッドの左脇あたりに立っている、ぼんやりとした人影。
何をするわけでもなく、ただじっとしている。
─看護師さんかな?
でもこんな時間に、、、
などと弘瀬は首を傾げていたが、カーテンを閉じ再びベッドに戻ると布団を頭から被った。
その日彼はあまり眠れなかった。
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窓際のカーテンから柔らかい朝の陽光が漏れる頃になり、弘瀬はようやくうとうとしだしていた。
その時突然声がした。
「権藤さん!権藤さん!しっかりしてください!」
前のベッドからだ。
弘瀬は起き上がると眠い目を擦りながら、カーテンの隙間から覗いてみる。
看護師がベッドでぐったりして横たわる権藤に向かって必死に声をかけていた。
やがてドクターがやって来て人口呼吸や心臓マッサージなどを施していたが、最後には看護師の顔を見て静かに首を振った。
後から看護師に聞いたところによると、朝の検温に行った時、既に権藤の心肺は停止して冷たくなっていたということだった。
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翌日からとうとう弘瀬は、広い二人部屋に一人になってしまった。
心細さと不安から彼は、彼女のN美に連絡をする。
その日はたまたま日曜日だったから、昼過ぎからN美は見舞いに来てくれた。
彼女が持ってきてくれた観葉植物をベッド横のテーブルに飾った後、互いの近況を話し合う。
N美は気を遣ってくれて出来るだけ明るい話題を話してくれていた。
そして最後に二人病室奥の窓際に並び、携帯で写真を撮る。
映り具合を確認していたN美が突然顔を曇らせ、声を漏らした。
「窓の向こうにこんな人いたっけ?」
言われて携帯を受け取り画面を見た弘瀬は、ゾクリとした。
そこには
笑顔で並ぶ弘瀬とN美。
背後のサッシ窓向こうには小さなバルコニーが覗いている。
その片隅辺りだけが、まるで昔の古い写真のようにセピアカラーになっていた。
そこに女が立っている。
夢にでてきそうです。怖かった!
怖がっていただけて良かったです
─ねこじろうより