青い顔の看護師
投稿者:ねこじろう (147)
消灯後も弘瀬は権藤の言葉が気になり、なかなか寝付けずにいた。
─権藤さんは廊下で青い顔の看護師を見たと言って、酷く怯えていた。
青い顔の看護師、、、本当にいるんだろうか?
するとカチャリとドアの開く音がし、パタパタと床を歩く音がすると、
「弘瀬さん、本日最後の検温ですよ」
と声がして、ベッドを囲む白いカーテンの一ヶ所の隙間から若い看護師が顔を出した。
ベッド横のスタンドライトに灯りを灯し、テキパキと弘瀬の脈拍、体温、血圧の測定を終えると「じゃあ、弘瀬さん、おやすみなさい」と言ってさっさと立ち去ろうとした時、弘瀬は「あの、ちょっと」と声をかける。
振り返った看護師に向かって彼は尋ねた。
「今日権藤さんが言ってた『青い顔の看護師』なんだけど、本当かな?」
看護師は一瞬顔を曇らせてから、
「権藤さんって、たまにあんな風になったりするんですよ。多分いろいろ不安なんでしょうね」
と言うと、さっさと立ち去った。
※※※※※※※※※※
それからどれくらい経った頃だろう。
弘瀬がようやく微睡みの沼に浸かりだした時だった。
─カチャリ、、、
彼は室の入口ドアが開く音で目が覚まされた。
弘瀬はベッドを囲む白いカーテンに視線を動かす。
開かれたドアから漏れる淡い光が、カーテンをぼんやり照らしている。
─看護師さんかな?
でも最後の検温は終わったはずだけど、、、
などと考えていると、カーテン越しにボンヤリとした人影が移動していくのが見える。
その時彼は違和感を感じた。
普段看護師が室内に入ってきたときはパタパタという忙しない靴音がするのだが、全く聞こえない。
しかもその人影は歩いているというより、背筋を伸ばしたままスーと平行移動しているという感じだったからだ。
人影はゆっくり右側に動いていくと、フッと消えた。
どうやら権藤のベッドの方に行ったようだ。
弘瀬は起き上がるとベッドの端に座り、カーテンの隙間から覗いてみた。
権藤のベッドが白いカーテンに囲まれているのが見える。
そしてベッド背後にある間接照明の淡い朱色の光が、中の様子を白いカーテンに薄ボンヤリと浮かび上がらせていた。
夢にでてきそうです。怖かった!
怖がっていただけて良かったです
─ねこじろうより