9割の流言飛語のなかに1割の真実がある。
妹ほどはっきり見えなくても、たまたま波長があって一瞬だけ見えたり、見えていなくても子供特有の感性で、その存在を感じ取っているのかもしれないと思いました。
その少女の正体はなんだったのか。
それからしばらくして、妹がちょっと深刻な顔で私に話したことがありました。
三年生の女の子が交通事故に遭って、その後、意識不明の状態が続いたそうです。
何ヶ月かあとに意識は戻りましたが、片腕と片足が麻痺しており、リハビリで自力で起き上がることができるほどにはなったのですが、後遺症が残ってしまい、車椅子や杖を使わなければならなくなったのです。
その子は特別支援学校へ転校した、ということです。
例の噂が出始めたのと、その子の事故から入院していた時期がちょうど合うのです。
妹は、もしかしたら見えていたのは、その子だったのかも、と思ったそうです。
「本当にその子だったのか?」
「さあ、知らない……顔は見てないし、見る気もなかったしさ」
「まあ、そうだな、知る必要はないものな」
「こんな力、マジでいらないわ〜」
普段は気丈な妹ですが、しばらくのあいだはさすがに落ち込んでいるようでした。
それから『片側人間』の噂は数ヶ月もすると、誰の口にものぼらなくなったそうです。
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意識不明中に幽体離脱してたってことなのかな
生霊かな