第4 話 君の名は
俺たちが市役所に入ると女性公務員が近寄って来た。
『ご要件は何でしょうか?』
俺がなんて答えようか迷っていると
『復興対策課に要件がある』
大崎さんが代わりに答えてくれた。俺一人なら不審者と間違われていただろう。
俺たちが会議室に通されると、初老の男性(復興対策課の課長)と事務員らしい女性が現れた。
『ブラックマンに関する調査報告書です』
大崎さんと初老男性が難しい話をする傍らで、北風は事務員に俺の給金について説明してくれた。
『この人は博士のところで働きました。市から給金を払ってあげてください』
今度は北風に助けられた。俺だけなら『お金ください』としか言えないからだ。
北風は俺の勤務日数や勤務時間を詳しく伝えて給金を計算してもらった。俺以上に俺のことをよく知っている。
『では給金の準備をして来ます』
事務員は会議室を出て行った。
『いよいよ初給料か』
さて何に使おうか。焼肉食べ放題なんていいな。
『勘違いしないでね。貴方の給金は探偵事務所に入るのよ』
『な、何だって!』
俺と探偵事務所は何も関係ない。
『第1話を読み返してみなさい。貴方は私に言われて就職したじやないの』
確かにそう書いてある。俺は北風に言われてハローワークに行ったのだ。
『しかし博士のところに就職したのは俺の意志で・・・』
『前もってハローワークに博士を紹介するよう頼んでおいたのよ』
すべて北風の手の平の上で転がされていたのだ。
大崎探偵は調査のため、俺をブラックマン博士のところに潜り込ませていたのだ。
『人の良さそうな中年男に見えたのに』
さすがはオカルト探偵を名乗るだけある。
『そんなに落ち込まないで。事務所の取り分を抜いたら、夫婦共有口座に入金して上げるから』
俺は上の空だったので、北風が何か重要な発言をしたことに気づかなかった。

























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