変なアルバイト「池の掃除」
投稿者:赤壁二世 (13)
先ずは水草みたいに水面に浮かぶ謎の植物に藻の除去をしなければならない。
先輩は車から浮きのついた謎のロープ状の道具を取り出すと、「これを池に浮かべて、二人係でロープを張りめぐらせ端から端に移動すれば草とか一度に集められる」と説明する。
だが、草が集まると重さで引っ掛かったり取り残しができるから誰か一人くらいは池に入らないと行けないとして、俺が選ばれた。
作業着は防水つなぎみたいな奴。
池に入ると結構冷たくて気持ちいいが、気分はよくない。
つなぎは脇下の辺りまでしかないんだが、水嵩はその脇下よりやや低いくらい。
胸より少し低い、一メートルちょっとだった。
ただ、水底にヘドロとか色々沈殿しているのか、足が取られて歩きづらい。
浮きを頼りに少し犬かきをするように、俺はロープを押していく。
ロープの両端はそれぞれAとBが握ってて、二人が池の左から右にゆっくりと移動するのに合わせて、池の中で俺がロープを押して進む。
面白いくらいに藻や草を絡めとることができて驚いた。
小さな葉っぱやゴミ何かはさすがにすり抜けてたけど、大部分の雑草はこれで一掃できた。
そうして集めた草は45Lのゴミ袋何十袋分だよってくらい小さな小山になってた。
池から上がると俺の作業着は9割方泥で汚れてて、たいして先輩やAとBの作業着はまだ小綺麗を保ってたから「この落差よ」と皮肉ると、Aが「どんまい」と苦笑する。
集めた草は後日まとめて焼却するらしいので、池から少し離れた地面の窪みにまとめるように言われた。
正直、この草の山をその窪みに運ぶ作業だけで数時間はかかるように思えたが、仕事だから文句は言えない。
泥まみれの草を抱えて窪みに運ぶ、それをAとBと共に何往復と行う。
先輩は、次の作業の準備を進めてるのか、車から道具を運び出してた。
「何かアレみたいだよな、シルバー人材センター」
「は?」
Bは草をかき集めながらそんなことを言う。
何でも実家の庭木が手を付けられないほどボーボーと伸び切ったらしく、その時にシルバー人材センターに選定や草むしりを頼んだそうだ。
まだまだ元気な高齢者達が数人がかりで庭木を綺麗にしてくれたらしく、B曰く、今の俺たちはまさにソレに近い状況だと笑う。
確かに作業的には似てるかもしれない。
ただ、高齢者がこんな辺境で作業中に倒れでもしたら救急車も呼べない。
だから俺らみたいな学生にアルバイトを頼んでるのだとしたら合点がいった。
ただの草むしり作業と何ら変わりない肉体労働。
素人でもできるが、体力的に厳しい業務。
まさに無駄に元気な学生にうってつけのアルバイトだ。
草の持ち運び作業中、先輩が「〇〇ー、こっち来てくれー。AくんとBくんは草運び頼む。終わったらこっち手伝ってくれー」と手を上げる。
俺はAとBに後を託し、先輩が待つ池の畔に向かう。
kamaです。いいですね。ゾクゾクしました。
面白かった
闇が深いな
読みやすいです。ひきこまれました。
うーん。オチが欲しかったなー