キオクチガイ
投稿者:ぴ (414)
私は交通事故で、大切な息子を亡くしました。
その日は旦那の運転で、息子を試合会場に送り届ける途中でした。
息子は柔道を習っており、その試合があったのです。
しかし、その日旦那が寝坊して、急ぐあまりいつもと違うルートを運転しました。
焦っていたのもあったかもしれません。
その途中で、旦那が運転ミスをして、対向車とぶつかって事故を起こしたのでした。
こうしてその事故により、息子は亡くなってしまったのです。
この後、私は旦那を責めてしまって、旦那は自分を責めすぎた結果、心の病で数年後に自分から命を絶ちました。
絶望感に襲われながら私は一人残されて、かなり寂しく孤独な人生を送りました。
…というそんな記憶が私にはあるのです。しかし、これはキオクチガイです。
だって実際に私の息子は生きています。
交通事故のせいで車いす生活にはなりましたが、今も健在です。
代わりに夫が交通事故で亡くなりました。
あの日、夫はいつもより早く目覚めて、息子を柔道の試合会場に送り届けようとしてくれました。
だけど、不運にも事故に巻き込まれて、私たちを残し命を失いました。
でも最後に見た顔は笑顔で、まるで私たちを救えたのが本望だったかのように見えました。
私はこのように記憶違いの二つの記憶が混在しているのです。
これっておかしいと思います。
最初の記憶は間違いなくキオクチガイです。
だけど、私はこの記憶がリアルに思えてなりません。
そこで私は思いました。もしかしたら私は、いや私たち夫婦は一度あの日をやり直しているのではないかと思います。
夫の最後の日はあまりにできすぎて、まるですべて知っていたかのようでした。
もしそういうことがあるとしたら、もしかしたら今の私はやり直した二度目の人生なのかもしれません。
この人生では命を懸けて私たちを救った夫の分も、できるだけ息子を幸せにしたいです。
少し怖いとは思ったけれど、この話が本当なら切ないと思って怖いには投票出来ませんでした…