夢の中で女に追いかけられる
投稿者:menyumpahi (2)
私は女の姿が見える一瞬のうちに既に階段を下り始めていた。
一段飛ばしで三階から二階、二階から一階まで駆け降りると、廊下を疾走して反対側に向かう。
この学校には旧校舎があって、一階と三階だけ渡り廊下で旧校舎と繋がっていた。
私は一階の廊下から旧校舎へ駆け込み、そこから更に廊下を走り対面の階段側に移動し、一気に三階まで駆け上がる。
そして、そこでようやく小休憩を挟むように息を殺して耳を傾ける。
後は女が一階から来るのか、対面の廊下側から来るのか見張るだけであり、基本的にはこの繰り返しで数時間は女を翻弄する事ができると思ってた。
ただ、廊下の先と先ではあるものの、女の顔を見ては逃げる一連の動作を何十回も繰り返していると、こっちまで気が狂いそうになるのが難点だ。
最初に夢を見始めた頃、マンション内で一度だけ精神的に疲れ切った為に走るのを諦めて女に捕まった事があるが、女が口を開けて飛びついてくるシーンはトラウマものだった。
そしていつも思うのだ。
「なんで私がこんな目に……」と。
私は夢の中の女に何かしたのだろうか?
執拗に追いかけられるような酷い事を知らない内にしたのか?
女は何の目的で私を捕まえるのか?
こんな理不尽な目に遭う理由が知りたいが、夢が答えてくれるは無かった。
毎度、女に捕まる度に私にトラウマを植えつけて目覚める事の繰り返しだ。
この日も、そうだった。
結局、校舎を使った無限鬼ごっこは大体六時間弱で終わりを告げた。
私が階段を踏み外したのをきっかけに、距離が詰まったのだ。
夢だから痛みは無かったが、階段を踏み外して盛大に転げた私が無意識に打ち付けた体をまさぐっていると、その僅か10秒にも満たない時間ロスの間に女の足音と悲鳴のような声が一気に近づいてきた。
慌てて廊下を走っていると、反対側の廊下の先にたどり着く途中、女が階段を駆け下りてきて追いつかれてしまった。
私が女の気配に気が付いた時にはもう遅く、獣のように跳躍して口を広げた女が私に飛び掛かるのを最後に目が覚めた。
起床。
女に捕まったと恐怖で目を閉じた瞬間には、こうして起床するのが決まり事だ。
今日も最悪の目覚め。
女の夢を見た日は決まって肩が重く気怠い。
お母さんも決まって「体調悪いの?」と聞いてくるが、私はいつも「ちょっと怖い夢見た」と、夢の内容こそ覚えてないの一点張りで素直に打ち明けていた。
最初の頃は本当に覚えてなかったから嘘ではないが。
不定期に女の夢を見る生活を長く続けていると、学校でも仲の良い友達も私の変化に気づくようになった。
名前は『とも子』と言って、私の親友とも言える良き理解者だった。
そのためか私が体調を崩しているときは母以上に気が付くちょっと敏感な子だった。
1本の映画をみた満足感!
↑それな 面白かった映像で見たい
カラダ探しっぽい