「〇〇子ってさ、たまにそうやって沈んでるときあるよね」
「え、そんな顔に出てる?」
とも子曰く、私が女の夢を見た日はかなりどんよりしたオーラを放っているそうだ。
三日徹夜したサラリーマンみたいだと言われた。
私はそんなとも子に夢の内容について相談してしまったのだ。
今思えば、これが私たちの関係を終わらせる最悪な行動だったと反省しているが、皮肉にも、この行動のおかげで突破口が開けたとも言える。
「実はね、変な夢を見るの。同じ内容の夢……」
そんな切り出し方だったと思う。
私はもう一年近く『女が追いかけてくる夢』について悩まされていると打ち明けた。
落ち込む私と違って、どこか子供ながらの好奇心に満ちた顔をしたとも子は、「なにそれ!やばくない?」と興味津々だった。
女の惨たらしい顔について話せば「こっわー!」と言葉と表情が一致しなかったりと、やや呆気にとられたが、私は友達に打ち明けたことで少し気持ちが楽になった。
それもとも子のお気楽な素振りのおかげだろうか。
何の解決にもなっていないが、この会話のやり取りが私の精神安定剤の役割を果たすには充分だった。
が、数日後。
私が学校にやってくるなり、とも子は息を切らしてこんな事を言った。
「ねえ!やばいんだけど!夢見た!女の!夢!」
若干涙目で訴えるとも子の表情は切羽詰まったものだった。
実は私もとも子に話して三日後くらいに女の夢を見たのだが、なんととも子も私から夢の話を聞いた三日後に同じ夢を見ていた。
とも子が見た夢は、私と同じように自室のベッドから起床するところだったそうだが、両親が居ない事を不思議に思ったとも子は深く考えず家を出ると、そこであの女とばったり遭遇して襲い掛かられたと言う。
その話を聞いた私は懐かしさを覚えた。
私も初めて夢を見たときは私以外誰もいない世界が怖くて家を出た。
とも子と違うのは、私の家がマンションという事で、廊下に出た瞬間にエレベーターの目の前に既に女が立っていたという事くらいだ。
私の夢のデビューはそうしてすぐに終わった。
「もしかして、目が飛び出たような女だった?」
女には閉じる瞼が無い。
ちぎられたように痛々しい傷跡と上下の瞼がない事で飛び出したような目玉が特徴的だ。
「なかった!血が垂れてた!怖すぎるんだけど!」
今にも泣きそうなとも子は私の胸元に顔を埋めて軽く泣いた。
私のせいなのだろうか。
私が話したから、とも子もそれをイメージして夢に見てしまったのだろうか。























1本の映画をみた満足感!
↑それな 面白かった映像で見たい
カラダ探しっぽい
クッソ怖くて読みごたえがあって面白かった!