描く像、見える影
投稿者:すだれ (27)
長編
2023/03/10
21:30
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フ、と友人が笑ったのを確認して、此方も肩が軽くなった。すっかり冷えた茶を淹れ直すと立ち上がる友人を見送り、チラシをまじまじと眺めていると、台所から声が響いた。
「後輩が見てた霊も、あのお祓いも『事実』なのか?」
「…………まあな」
「変な間が空いたな。どうした?」
「いや、……その後輩今はどうしてる?」
「しばらくしてバイト辞めていったから、その後のことはわからんな」
「そうか」
「お前やっぱ何かまだ隠してるな?茶淹れたら聞かせろよ」
「ええ…」
「秘蔵のスケッチブック見せたんだから」
「それを言われると何も言い返せないな…」
苦笑しながら、先ほどの友人と同じ体勢で卓に伏せた。脳内で団体の名前を転がし、縦横に指を動かす動作を思い浮かべる。
無害な存在を消滅させ、人体に影響を及ぼす威力の『お祓い』を信者にさせる団体の存在の可能性を何と説明しようか。軽くなった肩とは裏腹に胃が冷え込むのを感じ、もう少しで持ってきてくれるだろう友人の淹れた熱い茶を待ちわびた。
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