おまもり
投稿者:リュウゼツラン (24)
長編
2023/03/02
20:25
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冬休みが終わり、僕は未だ溶け切っていない雪を踏みつけながら登校する。
そして、朝のホームルームで担任からカナコが転校したと聞かされた。
「まじでー」とか、「急だねー」とか、みんなそれぞれ思いを口にしていたけど、僕は頬杖をついたまま、ただボーッとカナコの笑顔を思い出していた。
いつも笑っていた彼女は、笑えないくらい過酷な環境にいて、でもそれを誰にも聰らせずに、ひとり傷を抱えていた。ひとり静かに、耐えていた。
でも、きっとカナコは彼女を傷つけていた存在と決着をつけたんだ。
勝ったんだ。相手にも、運命にも。
僕はそれが嬉しい。嬉しいし、誇らしい。カナコを好きになって本当に良かったと思う。
「痛みの根源を消すお守り……か」
自嘲するように笑った僕は、実らなかった初恋に自分なりの決着をつけるにはどうしたらいいかと思案しながら、一時間目の準備をした。
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胸が痛い。
最後に予想を裏切られた…
非常に面白かったです
貴方は、彼女を守ったよ。
歳の割に渋い割り切りしてんな、少年。
いい漢になるぞ。