ケイドロ
投稿者:リュウゼツラン (24)
最近の小学校は部外者の立ち入りをかなり厳しく制限しているようで、校門前に警備員が立ってるところもあり、当然校庭には子供たちか教師の姿しかない。
でも僕が子供の頃は、校庭までなら部外者でも当たり前のように入ることができた。
なので、放課後や休日には中学生がサッカーをしていたり、たまに成人しているであろう大人までボールを使って遊んでいることもあった。
小学校4年生の僕達は、サッカーやバスケットにもハマっていたけれど、男女で遊べるケイドロがちょっとしたブームになっていた。
ボール遊びは男女で実力差が出てしまいがちだけど、かけっこの類なら身体能力の差なんてほとんど関係なかったし、勝ち負けというより、ゲーム性を楽しんでいたんだと思う。
有名な遊びなのでほとんどの人がルールを知っているだろうけれど、ケイドロは警察チームと泥棒チームに分かれてやる鬼ごっこだ。
地域差はあるかもしれないけれど、基本的なルールは、警察チームにタッチされた泥棒は警察の陣地に隔離され、泥棒は捉えられた仲間にタッチすると彼らを解放することができるという、シンプルながらもなかなか面白みのあるゲームだ。
ある日、いつものようにみんなでケイドロをしていると、見知らぬ大人が校庭に入ってきた。
30代後半くらいの見た目で、体格が良く、坊主頭に顎ひげを生やした、ちょっと怖そうな感じの男だった。
ただ、知らない大人が校庭にいる光景は珍しくもないので、すぐに誰も気にしなくなり、逃げ回る泥棒を警察が追いかけ回す。
その男は鉄棒の前に座り、僕らが走り回っているのを暫く見ていた。
20分程して、ふいに男は立ち上がった。
そして、走り疲れて小休止している僕らのところに来て「俺も混ぜてくれよ」と言った。
僕らの中心的な人物だった淳也という男子生徒は「いいよ」と迎え入れるが、僕は冷ややかな目で彼らを見ていた。
普通に考えたら見知らぬ大人を参加させるなんてあり得ないことだけど、OBである中学生や高校生がたまにふらっと遊びに来て一緒にサッカーをすることも多かったので、知らない人に対する警戒心はかなり薄かったんだと思う。
他のみんなもその男を受け入れ、ゲームは再開される。
大人の足に勝てるわけなんかないと思いきや、泥棒チームに入った男は大人にしては足が遅く、すぐにタッチされてしまう。
陣地を守る役目を任されていた僕のところに歩いてきて「いやー、捕まっちゃったよ。子供は足が速いねー」と顎ひげを撫でながら、僕のすぐ後ろの地面に書かれた円の中に座る。
人見知りの僕は、正直かなり居心地が悪くて、誰かに役割を変わってほしかったけれど、今すぐ変わるのはなんか露骨過ぎて感じが悪いし、もう少し我慢してから声を掛けようと、時が過ぎるのを無心で待つ。
「なぁ、家どこにあんの?」
突然肩に大きな手が乗せられ、タバコ臭い息が耳にかかる。
「近所だろ? 家族は家にいるのか?」
質問の意図が分からず、恐る恐る振り返ると、男はニヤニヤと下卑た笑みを浮かべていた。
僕はゾッとして「みんないます」と言った。
すると、タイミング良く、ポツポツと雨が降り出す。
そういえば今日は夕方から雨だと天気予報で言っていたのを思い出し、傘を持ってきていないことにも気付く。
「本降りになる前に帰ろーぜ」
淳也の意見にみんな賛成し、サッカーゴールのネットにかけていたポシェットなどの荷物をそれぞれが手に取り、帰る準備をする。
そして、カバンに荷物を詰め込んでいる僕の耳元で男は言う。
「俺が一緒に帰ってやるからさ。ふたりで帰ろう」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いでも現実的で不審者 これで不審者への警戒が高まりました。とても良いです
学校に部外者は入れないようにするべき!!
以外に怖かった
怖いですね。