知らない友人が知り合いだった
投稿者:A (4)
「そういや、お前んち〇〇行った先の△△(家の近くの会社名)過ぎた近くだったよな。懐かしいなww」
「え……」
Xは俺の近所の詳細を知っていた。
マジで何でコイツ俺ん家の場所知ってんの?って思った。
その時は「いや、何で知ってんのww」って平静を装って誤魔化したが、すぐにXが「だって行った事あるしww」と返したから、またそこで内心驚愕して固まってた。
マジで知らない奴から一方的に知り合いのように振る舞われたら戦慄する。
高校時代の話ならいざ知らず、実家も知られているとなればマジビビる。
因みに俺は今大学進学を機にボロアパートで一人暮らししてるんだが、その日は帰宅してすぐに母ちゃんに電話してXについて覚えてないか聞き出した。
「母ちゃん、Xって覚えてる?高校時代の友達みたいなんだけど」
俺は母ちゃんにXの特徴を教えたが、『そんな子しらんね』『家に来た事あるの?いつ?』『んー、覚えとらんわあ』と、やっぱり記憶に無いどころか、ラインで写真を見せても見た事もない子だと言っていた。
因みに写真はXを含めたA達とカラオケに行った時の写真を送った。
そして、俺は別々の大学に進んだ数少ない連絡先を知る友達にもXについて聞いてみる事にした。
ついこの間まで遊んでいた関係だが、大学進学以降連絡を取ってないと緊張する。
スマホを握って相手の返信を待つ傍らでソワソワ貧乏ゆすりしてると、数十分後に返信が来た。
『いや、覚えとらんわ』
それが一人目の返信内容だった。
その後、二人目、三人目の返事も来たが、全員Xなんて知らなかったし、写真を見せても学校で見た事が無いと言っていた。
そのせいでいよいよ俺はXが怖くなってきて、翌日からは警戒心MAXで接し、殆ど無難な相槌ばっかして会話がままならなかった。
そんな不自然な俺の態度を見かねたのか、A達から「お前、Xと喧嘩でもした?」と聞かれた時は、どう答えていいものか悩んだ。
何か既に俺がXの事を忘れている図式が出来上がってたから、その間違いから解かなければならなかったからだ。
まあ、面倒なのもあったが、流石にXが何で俺に近づいてきたのか分からないから、A達に本当にXとは面識が無かった事を告げる事に決めた。
「え、マジで知らん奴なん?」
「なんそれ、怖っww」
「お前何かしたんじゃねえの」
A達に俺なりの調査結果を話すと、三人とも半笑いだがちょっと怖がってるように見えた。
それもそのはず。
一見してXは爽やかな好青年。
A達はXが俺の高校の知り合いだと思ったからすぐに馴染んでいたが、実はそいつは俺と何の関りのない全く知らない男で、目的も分からず俺と知り合いだと言い張って近づいて来たと明かされたら戦慄ものだ。
俺が男だからこんな反応で収まってるけど、俺が女だったら完全に事件の匂いしかしないと思う。
しかし、ただ怖がってるだけじゃ何も進展はしない。
自分のことより、先に謝った方が良いのでは?
いじめられた側はずっと忘れないものですから。
怖いけどモヤモヤしちゃうな
なんかの話で騙すって言って騙さないことって騙されないことになるんじゃねって言ってるのを見たわ
「された相手は騙されるのを恐れて勝手に自爆した」
〇秒後に意外な結末 ミノタウロスの青い迷宮 第45話