たった一日で感じた事故物件の恐怖
投稿者:キョンシーズ (11)
事故物件。
よくテレビで見聞きするワードですが、私は20代の頃に実際にそんな物件に引っ越してしまった事があります。
あの時味わった恐怖は今でも鮮明に覚えています。
当時私は住んでいた部屋の契約がもうすぐ切れるという事で、不動産屋で働く友人にいくつか部屋を紹介してもらっていました。
目ぼしい物件はいくつかあったのですが、私はとにかく家賃が安い部屋を希望していたので友人に頼み込んで、立地条件と間取りが条件に合致し、何より家賃が異常な程に安い物件を紹介してもらい、内覧に行きました。
「友達としてここはマジで住んでほしくない。本当にそれでもいいのか?」と、本当は客に言うべきではない事故物件であるという事実を、事前に私に教えてくれた優しい友人は言いました。
詳しい事は分からないが、人が複数人この部屋で死んでいる事は事実で、最近入居した人はみんな一カ月も保たずに退去していたのだとか。
それでもそんな事を気にも留めなかった私は、愚かにも内覧をしてすぐに契約に踏み切り、その物件に引っ越す事になりました。
普通に綺麗で、言われなければ誰も事故物件などと思わないであろうその物件は一人暮らしには広すぎる位の広さがあり、内覧した瞬間から私は気に入りました。
そしていざ引っ越して物を全て納めてみても、余裕の広さがあるその部屋を更に気に入った私は、引っ越した日の夜に彼女を部屋に招待して細やかな引っ越し祝いをしました。
「前の部屋より全然いいね。私も早く一緒に住みたいなぁ。」事故物件だという事を知らせていなかった彼女も、この部屋をとても気に入った様でした。
そして二人でピザを頬張りながら、お酒を飲んでお祝いをしてこの日は彼女が泊まって行く事に。
すると早速異変が起こりました。
寝る前にシャワーを浴びに行った彼女を茶の間でテレビを見ながら待っていた時の事です。
いきなりテレビの電源が切れ、(なんだ?)と思いながらも再び電源を点けるとすぐにまた電源が切れました。
テレビの故障かと思いながらも、再びテレビの電源を点けるとまたすぐに電源が切れたので、私が諦めてリモコンをテレビ台に戻そうとした時にふとテレビ画面を見ると、私が先ほどまで座っていた辺りにはっきりと白い影が見えました。
驚いて振り返ってその辺りを見ても何もなかったので、気のせいかと思ってまたテレビ画面を見ると、今度は私のすぐ背後にその白い影が。
しかも今度は薄っすらと生気の無い男性の顔が見えてしまいました。
驚きと恐怖で私が一人でギャーギャーと喚き散らしていると、「どうしたの!?」と彼女がお風呂場から急いで飛び出してきました。
「ごめんごめん。なんでもない。飲み過ぎたみたい。」と、冷や汗をかきながら言う私を心配そうに見つめながら彼女はお風呂場に戻り、私は深く深呼吸して一旦落ち着こうとしましたが、どう考えても幻覚では無かった先ほどの現象に頭の中はパニックになり、私の中に少しずつ後悔の念が溢れ出ました。
しかし(最初からわかってた事だ。この位何とかなる。)と自分に言い聞かせて、彼女前では無理やり平静を装いました。
しかし異変は続きました。
彼女と一緒に茶の間の横の部屋でベッドの上で就寝し、深い眠りに就いていた時の事です。
深夜3時頃、なぜか目が覚めた私はふと茶の間の方を見ました。
すると肉眼ではっきりと白い影が横切るのが見え、私は凍り付きました。
今度は肉眼で、しかも一つではなく複数の白い影が茶の間で浮遊していたのです。
(ヤバい。ヤバい。)と思いながらも、横で寝ている彼女を守ろうと必死に身構えていると、今度はお風呂場から「シャーッ」と、独りでにシャワーが流れる音がしました。
そして「ペタッ・・・ペタッ・・・」と、私達が寝ている部屋の中を誰かが歩く足音がはっきりと聞こえ、私は彼女を抱き抱えて布団を思いきり被りました。
(ヤバい・・・マジでヤバい・・・)と彼女を抱き抱えながら震えていると、足音は消え、シャワーの音もいつの間にか止んでいました。
とりあえず一旦恐怖が去ったと、安堵していたのも束の間、今度は寝室の壁を「ドンドンドンッ!」と叩く音が聞こえ、さすがに彼女も目を覚ましました。
怖い。
助かって良かったですね。でも怖い体験したついでに彼女をしっかり抱いて良かったですね。
友達もいくらなんでもそんな家を紹介しなくてもね