土間のシミ
投稿者:YoyoYoyoY (52)
短編
2023/02/02
14:40
1,728view
祖父母の家は、戦後に大工だった祖父が自分で建てた家でした。
終戦後はまだ土間に窯を置いて炊飯していたようで、
その名残は長く残っていました。
私と妹と従姉弟は、共働きの両親が留守の間や夏休みなどは、
祖父母の家で面倒を見て貰っていました。
広い土間は恰好の遊び場所で、冷たいコンクリートの壁に油性ペンで
落書きなどしてやりたい放題です。
暗い土間の落書きは、目の悪い祖父母には見えないようで怒られることも
ありませんでした。
いつものように、落書きをしていると壁の隅の方に妙なシミを見つけました。
「こんなところにシミなんてあったかな?」
妹と従姉弟に訊ねました。
「ええ~なかったと思うよ。何かおじいさんの顔に見えるよね
眉毛と目がハッキリ見えるし」
従姉弟が怖いことを言い出します。
「すごく、おじいさんっぽいね。何か口が苦しそう」
妹も同調します。
「おばあちゃんに言ったほうが良いのかな?」
私は黙っておくのはダメな気がしました。
「そんなの言ったら、落書きもバレちゃうだろう!」
従姉弟の言うことも一理あります。
「ちょっとしばらくは落書きを止めよう」
3人の意見が固まりました。
それからしばらくして、土間の辺りに白い塊が
幾つか置かれるようになりました。
「雪?」
私はそっと触ってみます。
「塩だ!」
子供だったので当時は分からなかったのですが、それは盛り塩でした。
祖母が置いていたようです。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 4票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。