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心霊

ハムレットさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

深夜の墓参り
短編 2023/01/24 11:50 1,718view

私は、40代後半の主婦です。小さいころ、両親が共働きだったため、同居していた母方の祖母に
とてもよく面倒を見てもらって育ちました。

私が高校生2年時、祖母は亡くなり、祖母のお骨は、
住み慣れた場所ではなく、祖母の生まれ故郷であるS県にある祖母の実家の
お墓に納骨されました。

受験などで忙しく、私は祖母のお墓がどこにあるのか知らないまま
社会人となり、そして結婚して家庭を持ちました。

子供が小学1年生になった時、夏休みに旅行に行こうと思い立ち、
それなら、祖母のお墓参りもしたいと考えて、
祖母の実家にあたる親戚にも連絡して、お墓参りをすることにしました。

お墓の場所がわからないので、現地で親戚と待ち合わせをすることにしましたが、
途中、大渋滞に巻き込まれて、現地に着いたのはすっかり夜中になっていました。
「夜分に案内してもらうのは申し訳ないから、翌朝、改めて伺います。」と
連絡して、一旦、仮眠をとることにしました。」

けれど、大好きだった祖母が生まれ育った村です。
海がすぐそばで、真夜中だけれど、月明かりで思いのほか明るく、少しも怖いとは
感じませんでした。

おばあちゃんに会える気がする…ふと、そんな思いに駆られ、
私は一人、車を降りて、村の中を散策することにしました。
「物騒だから行かない方がいい」と主人は止めましたが、

「5分くらいで戻ってくるよ。ホントにそのあたりをちらっと回ってくるだけだから。」
そういって、私は懐中電灯も持たず、ただ、月明かりだけを頼りに
祖母が生まれた集落の中へと歩き始めます。

すると、いつの間にかお寺の門の前に立っていました。
大きな門の両脇に提灯があり、ほのかに灯りがともっています。
そして、数人のおばあさんが花を束ねたり、お線香を箱に詰めたりして
何か作業をしていました。
「あの、こんばんわ。」と恐る恐る声をかけると、「おや、こんな時間に墓参りかい」と
優しく答えてくれて、「○○家のお墓に参りたいのですが」というと、
「そういわれても、お墓の場所までわからんからねえ。」と困惑された様子。
けれど、「もし、お参りするなら、足元が悪いからこの提灯を持っていきなさい」と
火を灯した提灯を貸してくれました。

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