誰そ彼のたずね人
投稿者:すだれ (27)
君らが見つかったという報告を待ち望む者たちもいるだろうに。
1人ごちている間に日は暮れ、足元も見えにくくなっていた。テレビをつける気分になれず部屋の電気だけ点けると。
コン、コン
玄関の方からノック音。気のせいかとその場で静止していると、再びドアはコン、コンと鳴った。
家主の友人は入浴中。勝手に出ていいものか。
しかし部屋の電気が点いたのを確認して訪ねてきたのなら、居留守と思われると友人の心証が悪くなる。
どうするか、友人に聞きに行こうかと思ったところでふと違和感を持った。
なぜチャイムを押さない?
ゴン、と少し強めにドアが鳴った。
1歩だけ玄関に歩を進める。
ドアが叩かれるたびに心臓が嫌な跳ね方をしたが、歩は着実に玄関へ近付いていく。
開けてはいけないと警鐘が響く。
きっとドア向こうにはこの部屋に入りたい『何か』がいるが、入れてはならない。入れて家主の友人に何か影響があってはいけない。
どうだろう、隣の窓から覗けるか。いや、磨りガラスだから見えても影だけ。この窓もやはり開けない方がいいだろう。
チェーンロックをかけてドアを開ければ?僅かな隙間だけ開けることはできるが、その動作で「招き入れた」と思われるのも困る。
ジリジリと近づく間もドアはガンガンと叩かれ、音を鳴らしている。覗き穴、あれから見たらどうだろう。このドアの向こうに、一体『何』がたずねて…
「何してんの」
右手がドアに触れるか否かの瞬間、後ろから聞こえた声に身が強張り動きが止まった。その瞬間を見計らうように、風呂上がりの友人は此方の首根っこを皺寄るのも構わない力で掴む。
「うわお前…裸足で玄関降りるなよ徘徊爺のこと言えねぇぞ」
「…あ、本当だ」
「上がる前に砂払って…もうマジ介護じゃねぇんだから」
ブツブツ言いながらも、友人は襟首を離さず、強めの力でリビングまで引き摺られるように移動させられた。
バランスを崩しながらも離れた玄関からは、その間もずっとドアを叩く音が響いていた。
玄関とリビングを遮るドアを閉めると、友人は待ちかねたように缶とつまみをテーブルに広げた。
「お前さ、毎回あんな感じなん?」
「あんな…とは、」
「あんな、わけわからんヤツにも平気で近づくの?徘徊老人見てるより気が気じゃないんだけど」
言いながら此方に缶を1つ寄越す。度数がそこそこ高い酒だった。「玄関の先のアレが気になるなら酔ってさっさと寝てしまえ」と。聞かせてもらう予定だった話は?とは問えなかった。それを許さないと、先ほどの騒動を見た家主の目は語っていた。
「そんな顔しなくても、そうだな、外が明るくなったら話してやるよ」
「このドアを叩いているヤツに関しては?」
「ドア開けんなよ、絶対」
これの解説をお願いします
これマジでわからないんだけどどう言うこと?