キリンのキリコ
投稿者:YoyoYoyoY (52)
短編
2023/01/15
15:14
1,109view
それは、小学2年生の頃に買って貰った、キリンのぬいぐるみの話です。
そのキリンは、背丈が1メートルほどある大きなものでした。
当時、女の子の間で流行っていたタイプです。
どうしても欲しかったので、母に無理を言い、やっと買って貰いました。
キリコと名付けてかわいがったものです。
初めは、ままごとに参加させたり、一緒に寝たり、いつでも持ち歩いて遊んでいました。
しかし、高学年になる頃にはすっかり放置するようになりました。
あるとき、自室で本を読んでいたら、何かの視線を感じて顔を上げました。
目の前にキリコが立っていました。ああ、こんなとこに置いたっけな~と端っこによけました。
翌日、机に座り国語の宿題をしていると、また視線を感じました。
不思議と、必ずキリコがこちらを見ているのです。そんなことが何十回と続きました。
実際は、ぬいぐるみが勝手に動いているのではなく、私がキリコの前に座る形になっているのです。
それでも頻繁過ぎて、少し気になりました。
「最近は、ほったらかしだからスネてるの?」
キリコを抱き上げ日光浴をさせました。
中学校に上がった頃には、さすがに邪魔だからどうにかしなさいと言われました。
私はむやみに捨てるのも気が引けて、フェルトで小さなキリンのマスコットを作りました。
その中に、キリコの中綿を入れ込みました。
今でも私の小物入れの中に、小さなキリンのキリコはしまわれています。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 6票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。