気が動転した様に「これやべえかな?洗う場所ねえかな?」と落ち着かない様子のB。
吐き気と戦いながら新鮮な空気を求めて小屋の外へ這いずり出ようとする俺とA。
小屋の中はそんなバカな大学生の阿鼻叫喚でまさに地獄絵図だった。
小屋から脱出した俺は深呼吸して生き返る。
傍らではAが「み、水!水!」とリュックからペットボトルを取り出して、Bの左腕に注ぐ。
赤黒い様な、泥水の様な、そんな濃い液体が水と一緒に土に吸収される様子を眺めていると、また吐き気が催してきて、俺は再びえずいていた。
そんな折、俺は付着した体液をゴシゴシと拭うBを見ていれば、不意に妙な物音がしている事に気が付き、視線で周囲を探った。
「ゴリ、ゴリ」といった何かを擦る…若しくは何かを動かしている音が聞こえる。
視線で音の出所を辿っていれば、自然に蓋が開いたままの井戸へ向けられた。
確実に井戸の中から物音が鳴っている、そんな確信が得られた。
俺「なあ、おい。何か鳴ってね?井戸から」
俺が人差し指を立てて聞き耳を立てるよう促しながら問いかけると、二人は怪訝そうに揃って口を紡ぎ、同じように耳を澄ませる。
そして、俺が井戸を指差せば、二人の視線は開かれた小屋の入口に向き、開封されている井戸へ流れる。
「ゴリッ」
確かに井戸の中から音が鳴ったのを確認した二人は一気に青ざめた様に口許をわなわなとさせた。
A「虫じゃね?」
虫がこんなはっきりと力強い音を立てるだろうか。
B「な?な?誰かいるんじゃね?ホラ、俺掴まれたって言ったろ」
Bは洗い流している最中の左腕を見せつける様にして声を上げた。
だが、井戸の中に人が居るとかそんな事が有り得るのだろうか。
しかも、あんな大量の骨が遺棄されて蛆が沸いて異臭が充満した井戸の中に。
井戸から鳴り響く音とBの左腕にうっすらと残った手痕を見比べて、俺とAは暫くの間固まった。
その間も、明らかに虫が這う様な物音とは比べ物にならない人為的な物音が井戸から聞こえ続けている。
B「……蓋しようか」
俺とA「「へ?」」
B「とりあえず蓋しとこうぜ」
すると、この状況に痺れを切らしたのか、Bが立ち上がるなり井戸の方に近づきながらそんな事を提案する。
音の正体を確かめるのではなく、石蓋を戻して見なかった事にする。
そんな意図が透けて見えたが、その提案に俺達は賛同した。
そもそも井戸の中身自体怪しいもので、万が一人骨だった可能性を考えれば下手に触らないのが吉だ。
それにこの村に於いては、何が起きても何ら不思議ではない、そんな異様な空気に包まれていたので見なかった事にするのは正しいのかもしれない。

























すげえ
めっちゃ読み応えありました
こういうのもっと読みたい
これ最高
描写がすごい
これほん怖とかの実写で見てみたいな
想像で吐き気がやばかった。怖かった。
漢字で書いた方が読みやすい言葉と、ひらがなで書いた方が読みやすい言葉がある。って文学者が言ってた。
本当に理解しているエンジニアは説明の時に専門用語を使わない。それと似ている
読み応えあるしきちんと怖い
大学二年生で平成後期生まれって書いてるから飛び級でもしたのか?と思ったけど後半って書きたかったのかな?
俺も気になった
2023年1月に投稿で夏休みの話ってことは、どんなに若くても2022年夏に大学二年生=2003年(平成15年)生
平成後期生まれとは言わないわな
細かいかもだけど、こういうとこで1回気になると一気に没入感無くなるからもうちょい設定練っといてほしい
↑
わかる。設定に引っかかると萎えるよな
俺は「排他的であればあるほど研究意欲が沸き立つ」で「オカルト好き」なのに完全に他人任せで調査に関わらない先輩が気になった
翌日迎えに来れるなら別の重要な調査と被ったとかじゃないだろうし
語り手達に状況を再確認させる人物がストーリー的に必要だったのは分かるけどちょっと萎える
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おもしろかった。