だが、意外にも仙人の反応は至って平静で、一度帰ろうとした足を止めればこっちに向き直って「凄かっただろ。どうだ?ネタになりそうか」と満足気で悪戯小僧の様な笑みを浮かべていた。
このあっけらかんとした態度を見て、もしかしたら仙人は俺達の取材のネタになると思ってあの場所を教えてくれたのかもしれないと思った。
中には俺達を驚かせてやろうと言う悪戯心もあったかもしれないが、少なくとも仙人の表情や声色には排他的で攻撃的なものは感じられず、寧ろ悪ガキや悪友に近い親近感を覚えた。
B「めっちゃビビりましたけど、あれって……人の骨なんですか?」
仙人「さあ、どうだろうな」
Bがグイグイと質問していくと、仙人は相変わらず素っ気ない口調だったが普通に答えてくれる。
と言っても、骨の正体については知らないのかはぐらかしているのか見当がつかないが、どうやら仙人がこの村に住み始めた頃から骨は既に井戸の中にあったそうだ。
問題は最近のモノと思われる腐りかけの肉片がついた骨なんだが、流石にそれについては怖くて切り出せなかった。
少しだけ質問した後、仙人は寝る時間が来たと言い残してさっさと帰っていくのだが、その道筋には引き摺った片足で描かれたミミズが張った様な線が引かれていたのが印象に残っている。
足が不自由なのに何故こんな山奥の廃村に住んでいるのか不思議でならなかったが、俺とBは仙人の姿が見えなくなったのを確かめると玄関を閉め、頂き物の鍋を居間で開封する。
中身はぼたん鍋の様な料理だった。
スープの香ばしさが鼻腔を通ると胃袋が早くそれを食せと言わんばかりに音を立てる。
俺「A、仙人からの差し入れ食べるか?」
俺がそう問いかけるが、Aは相変わらず横になったまま小さく唸るばかりだったので、ペットボトルを近くに置いてそっとしておくことにした。
B「てか、肉あるんだな」
気付けばBが既にいくつかの野菜を頬張っており、肉の塊を箸で摘まみ上げていた。
形状からして鳥、いや、鹿肉。
猪だろうか。
分からないが、牛や豚とは違った火の通り加減と匂いだった。
とりあえず最初の一口はスープを飲んでみたが、味噌やダシが効いていて体の芯から温まる仕上がりに大満足した。
続いて白ネギや豆腐などの野菜を食せば、いい具合に蕩けて美味いときた。
俺「うめえな。やっぱ山といったら鍋だな」
ありきたりな感想を零していざ肉を頂こうと箸を伸ばすと、急にBが「うぇっ!」と肩を竦めながら梅干しを食べた様な顔をするので、肉を頬張りながら「何してんだ」と半笑いでツッコんでやった。
だが、肉を口内に放り込んだ途端、俺も同様に渋い顔を浮かべて肉を吐き捨ててしまった。
俺「うげっ!なんだコレ!?まっず!」
肉の味の感想は単にしょっぱかった。
塩をふんだんに使用しているのか人が食べられるレベルじゃない塩分濃度。
それに加えてブニブニとした触感とコリコリ感が合わさった舌触りは最悪で、時に生臭さが吐き気を催した。
B「超しょっぺーんだけど」
Bが窓を開けて唾を吐いて文句を垂れているが、それには同意だった。
























すげえ
めっちゃ読み応えありました
こういうのもっと読みたい
これ最高
描写がすごい
これほん怖とかの実写で見てみたいな
想像で吐き気がやばかった。怖かった。
漢字で書いた方が読みやすい言葉と、ひらがなで書いた方が読みやすい言葉がある。って文学者が言ってた。
本当に理解しているエンジニアは説明の時に専門用語を使わない。それと似ている
読み応えあるしきちんと怖い
大学二年生で平成後期生まれって書いてるから飛び級でもしたのか?と思ったけど後半って書きたかったのかな?
俺も気になった
2023年1月に投稿で夏休みの話ってことは、どんなに若くても2022年夏に大学二年生=2003年(平成15年)生
平成後期生まれとは言わないわな
細かいかもだけど、こういうとこで1回気になると一気に没入感無くなるからもうちょい設定練っといてほしい
↑
わかる。設定に引っかかると萎えるよな
俺は「排他的であればあるほど研究意欲が沸き立つ」で「オカルト好き」なのに完全に他人任せで調査に関わらない先輩が気になった
翌日迎えに来れるなら別の重要な調査と被ったとかじゃないだろうし
語り手達に状況を再確認させる人物がストーリー的に必要だったのは分かるけどちょっと萎える
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おもしろかった。