赤ん坊を抱いた白い服の女性
投稿者:ふぁい (1)
もう20年以上前の話ですが、未だに自分が見たものが幽霊なのか、または生きている人間だったのかわからないでいます。
その日主人と実家を訪れた帰り道、私達の車は海沿いの国道を走っていました。田舎の夜10時過ぎともなるとすれ違う車も少なく、私と主人は少し疲れていたせいもありお互い黙ったまま前方の曲がりくねった道をぼんやり見つめていました。
すると前方のカーブの所に、私達と同じ進行方向に向かって歩く人影がありました。白っぽいワンピースの女性らしき人の背中はその胸に何かを抱えているように見えました。私は「こんな時間に車道を歩くなんて危ないな」と感じ、同じように思った主人も少しスピードを落としてその女性の横を走りすぎようとした時…急に女性が胸に持っていたであろう何かを私達の車の方にブンっと振り回しました。一瞬横目に写ったそれは紛れもなく赤ん坊でした。
人形なのか生身なのかはわかりませんでしたが片足を掴まれて振り回された赤ん坊の首は大きくしなっていました。
恐怖のあまり私と主人は固まってしまい、私達のそのまま声を出すこともなく数十秒車を走らせました。本当に恐ろしくお互い振り返る事も出来ず、バックミラーを見る事すら出来ませんでした。
暫くして「…見た?」と私がつぶやくと主人も「ああ…何、あれ?人間?子供は人形だよね?」と小さく言いました。「人形に決まってるじゃない、じゃないとあんな事したら赤ちゃんの首折れちゃうよ」と私が言うとその後主人は何も言いませんでした。その後家につくまで私達は無言のままでした。
数カ月後、その恐怖も薄れた頃、何となく「そう言えばこの前帰りにおかしな人を見たよ」と妹に話した所、更なる恐怖を上乗せする結果になってしました。
驚いたことに、妹は友人から同じ場所で同じ時間帯に赤ん坊を急に振り回す白い服の女性を見た話を聞いたというのです。
更に悪い事に彼らはその後気になって車をUターンさせ、自分たちが見た物を確認するためにその場所に戻ったらしいのです。しかし既にそこに女性の姿はありませんでした。
「結局何だったんだろう?」と車内で盛り上がっていた時…何とカーブの先には、また同じ赤ん坊を抱いた女性の後姿が見えました。
そこは最初の目撃地点からは車で5分以上走った先でした。
彼らは誰ももう振り返ることも、バックミラーを見ることも出来ず猛スピードで女性の横を走り去ったということでした。
はたして彼女は生きている人間だったのか、幽霊だったのか、結局誰にも真相は解らないのです。
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