そう言っておばあさんは足早にどこかへと去って行った。
その後もやはり、小林さんの家からは人の声もインターホンの音も聞こえなかった。
この対応以降、おばあさんが再度訪ねてくることはなく。いつも通りの平穏な夜となった。
翌朝。
庭掃除をしていると、近所に住んでいるお年寄り夫婦のおじいさんが現れた。
おじいさん「おはよう!」
私「おはようございます。今日は天気が良いですね」
おじいさん「そうだね。これから散歩に行ってくるからまた!」
そう言っておじいさんは毎日の日課である散歩へと向かった。
おばあさんのことは何も言ってこない。
本当に私と主人の見間違い・勘違いだったのだろうか?
そう思っていた数分後、おばあさんが現れた。
私「おはようございます」
おばあさん「おはようございます」
私「もしかして昨日我が家のインターホン押しました?」
おばあさん「何時ごろ?」
私「7夜の7時頃と9時前と11時頃の3回」
おばあさん「そんな時間に人ん家のインターホン押さないよ!年寄りだからその時間はもう布団の中だよ」
おばあさんは笑いながらそう言った。
そうなると昨日我が家に訪ねてきたおばあさんは、本当に近所に住んでいるお年寄り夫婦のおばあさんではないのか?
なんというか頭の中が少し混乱した。
その日、仕事から帰宅した主人に今日の出来事を話した。
やはり主人も納得ができていない様子だった。
あのおばあさんは誰で、どこから来た人だったのか?
そして無事に小林さんの家に行くことができたのか?
近所に住んでいるお年寄り夫婦のおばあさんは認知症ではなかったのか?
謎は深まるばかり。
この日以来、そのおばあさんを見かけることはなかった。
ちょっと怖い体験でもあり、不思議な体験でもありました。
ドッペルゲンガー・・・?
ためはち