午前0時のトイレ
投稿者:ウズベキprize (2)
「お前は許さない!お前もこっちに連れて行ってやる!」と徐々に近づいてくるキミの悪い声..
迫り来る恐ろしい気配..
私は「どうしよう?」と思いましたが、
ただ出来る事は1つ。無我夢中で「南無阿弥陀、南無阿弥陀」と念仏を唱えることしか、その時の私にはできませんでした。
すると、念仏が効いたのでしょうか?
老人の掠れた声と嫌な気配がなくなったので、勇気を振り絞って、そぉ〜と振り向くと、背後には何もありません。誰もいないんです。
「あ〜良かった〜」「何かの気のせいだったのかな」とほっと息!
ですが、この恐怖はまだ続きがあったんです。ホッとしたのは束の間でした。
不意に正面に視線を戻すと、
「こっちへ来〜い!」と、突然、
白装束の老人が私の首を掴み、引っ張ってくるんです。
「お前を許さない〜..絶対に許さない〜」と..
「俺があんたに何をしたって言うんだよ!」とやぶれかぶれで叫んでも、その老人は一向に私の首を離してくれません。
それどころか、更に形相が険しくなり、
首を掴んだ手の力もさらに強くなりました。
「あ、もうダメだ!」と諦めかけた次の瞬間、どうやら私は気を失ったらしく、目覚めると既にお天道様が昇り清々しい朝になっていて…
とっても気持ちの良い朝でした。
昨日の悪夢のような出来事とは正反対の状況に、「昨日のあれは何だったの?夢だったのか?」と、ちょっと困惑状態!
ですが、何故だか、
その時、腕には生前に祖母からもらった御守りを握りしめていたんです。
「ん、何で御守りなんか握っているんだろ!俺は..」
多分、恐怖のあまり、咄嗟に御守りを握りしめたのでしょう!力強く握られたその御守りはぐしゃぐしゃになっていたんです。
「ちょっと飲み過ぎたかな?でも昨日の出来事は夢だったのかな?」なんて、その時は思いもしましたが、やはり首が痛いんです。
「あれ!転んで首でもぶつけたかな?」
と、手持ちの鏡で確認すると、首には真っ黒な締めらた後がハッキリとあり、間違いなく、誰かに首を絞められた形跡があって…
私は一瞬で顔面蒼白になりました。
昨日の出来事は夢じゃなく、現実の出来事だったんだ!もしかしたら、この御守りが私を救ってくれたのかもしれない、とその時ばかりは恐怖心で震えてしまいました。
それから1か月が経ち、
あの日のことは誰にも言っていません。
言うつもりもありませんでした。
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