謎肉 (加筆修正版)
投稿者:kana (210)
いつの間にか店内に調理する音と匂いが広がっていました。
ちょうど漫画を読み終えたところで、タイミングよくカツ丼が出来上がってきました。
見てみると、なんとなくカツが薄くてコゲ茶色っぽくて、
なんとも貧相なカツ丼に見えます。
それでも出されたものはしょうがない。気を取り直して食べることにしました。
「いただきます」私はカツを一切れクチに運びました。
「うっ…うんん?」
その時の私は多分しかめっ面をしていたと思います。
今食べた丼の中身を凝視しつつ、かじったカツの断面を観察しました。
というのも、なんだか今まで食べたことのない味がしたからです。
なんと言ったら良いのでしょう。豚肉の味には思えなかったのです。
少し苦みがあるような、臭みがあるような…肉も薄く、
色もやけに黒っぽい色に感じました。
(なんだかクジラ肉を食ってるみたいな気もするけど、気のせいだよなぁ…)
少し気になったものの、マズイというわけではなく、クセのある味というか…。
(う~ん、普通のカツの味じゃないんだけど…だんだん美味しく感じてきた!)
気が付くと私はいつのまにかそれをどんどん食べ進んでおりました。
食べ終わって、お金を払って、急いで工場に戻りました。
戻ってからもそのカツの味が忘れられず、結局翌日もカツ丼を食べにその店へ行きました。
さらに翌日も、そのまた翌日も…。
だって、カツ丼の肉の味がどんどんどんどん美味しくなって行くのです。
「婆ちゃん、この肉、すっごくおいしいよ!」
あまりの美味しさに思わずそう言うと、お婆さんは店の奥に向かって
「爺さん~お肉美味しいって。良かったねぇ」と声をかけていました。
奥からお爺さんの返事はありませんでしたが、寡黙な職人なのかもしれません。
・・・・・・
今日も客はあの青年一人だった。
「そろそろ店じまいかねぇ…」
古い定食屋を切り盛りしていた女将は、店の暖簾をはずして店内にいれる。
そして店の奥にある調理場へと向かった。
調理場にはお爺さんがいた。
長年この店の店主だった男だ。
女将が言う。
「あんたの肉、美味しいんだってさ。熟成肉ってやつなのかねぇ…。」
店主の爺さんはだまって天井の梁からぶらさがっていた。
内蔵は抜かれ、血抜きもされている。
ミイラ化がはじまっているのか、まだ弾力はあるものの、皮膚はやや渇きはじめていた。
「あとどれくらい持つものなのかしらねぇ…お爺さん…」
kamaです。
理由はわかりませんが、現在画像が出せない状況です。
加筆修正版とは・・・?
この話を最初に書いたのはずいぶん前で、Youtubeでもたくさんの方が朗読してくれていたのですが、なんせ無駄なところや、まどろっこしい遠回しの表現や分かりにくいところが結構あったので、怪談としてわかりやすく推敲しなおしてみました。もちろん稚拙な文章ですが、今自分にできる精一杯の所で修正させていただきました。
自分の話に常に改善点を見つけるところ、kama先生さすがです
人の肉ってクジラ味なんですか?
酸っぱいっていう説もあるらしいけど、、、。
カップヌードルの謎肉懐かしい