カエルの化身
投稿者:ぴ (414)
小さい頃に、道端で見つけたカエルを助けたことがあります。
道路の真ん中でぴょんぴょんしていたカエルが心配になり、私は両親に無理を言って車を止めてもらい、カエルを捕まえて近くの草むらに逃がしてあげました。
車どおりが少なくはない道路だったので、あのまま放っておいたらカエルは車に引かれてぺしゃんこになっていたと思います。
私は安心して、車に乗り込んで意気揚々と帰りました。
草むらの中、一度だけぴょんと大きく跳ねるカエルを見ました。
私はすごく心穏やかにカエルに手を振りました。
あれから十数年、私は大人になり、小さな会社に務めるようになりました。
専ら仕事は事務作業で、朝から晩までパソコンにかじりついています。
気づいたらメガネが手放せなくなるほど視力が低下し、おしゃれっけも全くない生活をしていました。
同年代の職員はみんな恋人がいたけど、私にはいなかったです。
すごく地味な恰好、地味な生活をしている私には、そのような恋人ができる気配はなかったのです。
そんなある日だったでしょうか。
突然、会社に長く務めるお局さまに「お見合いしないか」とある男性を紹介されました。
私以外はみんな彼氏持ちだったので、実質ターゲットは私のみです。
最初は断るつもり満々でしたが、相手のお局さまが本当にしつこくて私はいやいや一回は会ってみることにしたのです。
一度でも会って、「ごめんなさい」すれば、いくらしつこいお局さまでも許してくれるだろうと思ってその紹介の元、とある男性に出会ったのです。
相手は一流会社に勤める商社マンで、ハキハキとしゃべる好青年でした。
その日の内に交際を断る気まんまんだった私ですが、思いのほか男性との会話が弾み、私たちはあれやこれやという間に、交際することになったのです。
相手はとても素敵な人でした。
常に私のことをいつも気遣ってくれるし、商社マンというだけあり、いろんなことを知っていて話が面白いし、なにより男社会特有の女を見下したりすることが一切ありません。
同じ会社に勤める男性とはちょっと違いました。
いつもにこにこして、私にすごく優しいし、性格面は何のマイナスもありませんでした。
ただ顔がちょっと微妙なのです。
友達に写真を見せると3人に1人くらいは「なんかカエルに似てるね」っていうくらいにカエルに似た雰囲気があり、お世辞にもイケメンとは言いがたかったです。
ただその外見を吹き飛ばすくらい中身はいい男でした。
だから私は彼と真剣なお付き合いをしていたのです。
交際して半年ほど経ったくらいに、私は彼に誘われて一緒に彼の実家に伺うことになりました。
彼の実家はド田舎にあるらしく、私はそこに車で行かないかと誘われたのです。
結婚を前提のお見合いで知り合ったお相手です。
もちろん、そろそろプロポーズなのかななんて思うこともありました。
切ないです。気を落とさず新しい彼氏を見つけてください。
おとぎ話みたいで引き込まれました。
結婚してたらどうなっていたのか・・・
彼は、きっと下戸だね。商社マンも変わったな。
寂しそうにごめんはきつい、感動