ホーチミンのトラウマな夜
投稿者:ねこじろう (154)
何故だろうその時俺は、5年前のあの時にもあのピエロにじっと見詰められていたような気がした。
雨宿りも兼ねて出口そばにあるキッチンカーに立ち寄り、車側面の飾りテント下にある長椅子に座ってビールを飲んでいると、日本人とおぼしき初老の男が隣に座る。
中肉中背。
Tシャツの上にジャケット、ジーパンという出で立ちの平凡なタイプだ。
男はビールを注文すると、おもむろに話し掛けてきた。
「ショウは楽しめましたか?」
俺は男の横顔をチラリと見ると「まあ、そこそこは」と答える。
彼はしばらく黙っていたが、やがて会場テント隣に並ぶ中くらいのテントの方を指差しながら
「あそこのテントで今、ちょっと面白いショウをやってるみたいなんだけど、もし良かったら一緒にどうですか?」
と言う。
「ショウ?」
「はい。日本円でおよそ1,000円ほど掛かるみたいなんですけどね、結構面白いみたいですよ」
どうせこの後はホテルに帰って寝るだけだ。
妻の手掛かりになるようなこともなかったし、せっかくだから男の話に乗ってみるか。
俺は「面白そうですね」と言って男の横顔を見た。
「よし、じゃあ行きましょうか」
と言って立ち上がったので俺も一緒に立ち上がった。
そして彼はキッチンカーを離れると、先ほどの会場テントの横に建つ小規模のテントに向かって歩き始める。
俺も彼の背中に従う。
テントの入口前には大手ハンバーガーショップのイメージキャラのようなピエロが立っていて、男はそいつにお金を渡しているようだ。
しばらくすると彼は微笑みながら私の顔を見て、手招きした。
それで小走りでそこまで走り彼に金を手渡すと、後に従いテントの中に入って行く。
中はだだっ広くて薄暗かった。
どこか寒々しい雰囲気が漂っている。
ただ5メートルほど前方辺りにポツンとある四角いケージにはスポットライトが照らされており、そこだけが明るくなっていた。
ちょうどテントの真ん中辺りだ。
透明のパネルに囲まれているようなのだが、周囲には黒いカーテンが掛かっており、中は見えないようになっている。
幅3メートル、高さ2メートルくらいだろうか。
奥行きはよく分からないが結構ありそうだ。
ケージの前には痩せたピエロが1人立っていた。
既に5名ほどの人が列を作って並び、順番を待っている。
YouTubeで似たような話を見たことがありますが、こういう話って海外だと多くありそうですよね。
それが本当なら警察に。
本当の話なら警察に行って取り返さないのか?
Holy shit!