近所のレトロな床屋
投稿者:ねこじろう (147)
短編
2022/09/19
17:59
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「!!!」
体の中心を冷たい電気が走り、全身に鳥肌が立つのをはっきり感じたよ。
額から頬にジットリ暖かいものが流れているのも分かった。
「そしたらさあ、プシャーッと赤い血が飛んでねえ……
いやあ、すっきりしたねえ、、、
他にもお客さんや店員もいたんだけど、「おお!」とか言いながらみんなビックリしてたなあ。
ざまあみろという感じだったよ。
ハハハハ……。
ただ白い布と姿見は結構汚れちゃったのが残念だったけどね」
「……」
「おかげで10年、臭い飯を食わされたんだけど、まあ良い勉強になりましたわ。
さすがに札幌ではもう商売はできないから、こっちに来てまた始めたんだけどね。まあ若気の至りというかなんちゅうか、
お恥ずかしい話ですわ。
ハハハハ……」
「そ、、それで、その男の人はどうなったんですか?」
僕は恐る恐る尋ねる。
「あのヤロウ?
知らないよ。
死にはしなかったから今も寝たきりなんじゃないの?
まあ自業自得、いい気味だよ」
「……」
リクライニングが起こされた。
マスターはブラシとドライヤーを持ち、鏡に映る青ざめた僕の顔に向かってニッコリ笑ってこう言ったんだ。
「さて、セットはどうします?」
【了】
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こっわ