綺麗なお姉さんの謎
投稿者:皐月 (31)
私が生まれ育ったのは、北海道のなかでも雪深いところでした。冬になると、近所の山へとスキーを持っていき、滑って遊ぶというのが恒例だったのです。
その日も、仲のいい子と3人で山へと行きました。すると、1人の子がある噂話を言い出したんです。それは、雪女の話です。
「私のひいじいちゃんが、小さい頃に会ったって言ってたよ。その女の人がくると吹雪になって、その女性が去っていくと晴れるんだって」
私ともう1人の友達は、まさかと笑いました。そんなのは単なる偶然だと。ですが、その子は1歩も引き下がりませんでした。
「だって、ひいじいちゃんも、ひいじいちゃんの弟も見たんだもの」
と、あまりにも必死に言うので、はいはいなんて適当に流していたんです。すると、いつしか雪がチラチラと降り始めました。
「あれ?雪が降ってきたよ」
「天気予報、晴れだったのにね」
なんて言っていたら、どんどん吹雪になってきました。私たちが慌てて風避けになりそうな大きな木の下まで行くと、そこには先客がいました。
「あなた達、何してるの?」
とっても綺麗な女性でした。雪のように白い肌をしていて、艶やかで長い黒髪は腰の辺りまで長かったんです。私たちかまスキーに来たことを言うと、その女性はこれまでしたことがないと言って、なんだか悲しそうに下を向いてしまいました。
どんどん風がひどくなり、私たちは吹き荒れる風と雪にガタガタと震えました。
「そうだわ。車のなかにコーヒーがあるから、持ってくるわね」
そう言って、女性は吹雪のなかも気にせずに走っていってしまったんです。
すると、みるみる風は止み、空は太陽が輝く青空となりました。良かったとホッとしていたら、また急に吹雪いてきたんです。
「お待たせ。コーヒー飲むでしょ?」
女性がニッコリ笑いながら、コーヒーを差し出してくれました。さっきまで晴れていたと言えば、女性はキョトンとして、ずっと吹雪だったわよと言うのです。
ずっと?そんなわけないのに、と思いながらも、熱々のコーヒーを飲みました。でも、その女性は飲まないのです。寒いはずなのに、平然としているのです。
友達が「ねぇ、もしかすると、雪女だっりして」と、ボソッと呟くのです。
まさかと笑おうとして、先程の話を思い出しました。
あんなに綺麗な青い空なのに、ずっと吹雪いていたって言ってました。
彼女のいるところだけ雪なんてごとが、あるのでしょうか。
その後、その女性はもう行くねと、私達の前からいなくなりました。
そして、途端に空には青空が広がって来たのです。
私たちは、今でも会うと彼女のことを「雪女かもしれない」という話で盛り上がります。
雪女ネタって珍しい。
面白かったです。
被害が無いうえ珍しい体験で怖くはないけどうらやましい。
熱々のコーヒーありがとう。
この系の話も悪くないわね、怖い話でも普通に出てこない話だから結構好きだわ、だけど雪女で暑いコーヒなぜ?って感じだけどでもいい話だわ。
カインドネス・スノーレディ