禁足地と人柱
投稿者:セカンド (1)
なんだこの状況は。
俺はSが突然壊れた事実に感情がついていかなかった。
ただ、叫んでいるSを脇目に立ち尽くす事しかできず、どうすればいいのか分からなかった。
そうして戸惑っていると、眩い光が顔に当たり、俺は目を細める。
「あそこじゃ!」
遠くで誰かが叫ぶ声が聞こえた。
恐らく祖父の怒声。
そう思った直後、やはり祖父だという事を示す様に「〇〇か!バカモンが!」とまだ距離があるうちから怒鳴り散らかしていた。
祖父が俺の所まで駆け寄ってくると、落ち合ってすぐに拳骨を頭に受けた。
かなり痛かったがお陰で俺は正気を取り戻す事が出来、祖父の背後に息を切らした親父と伯父が居る事に気が付く。
そして、全員が俺では無くて、地べたに横たわり叫び続けているSを見下ろして青ざめているのが分かった。
「あ、あの、Sが急にこうなって……」
どう説明していいのか分からなかったが、俺は俺なりに祖父達にここまで来た経緯を説明した。
Sが白いのが見えると言った後にこうなった事を話すと、伯父は膝から崩れ落ち、祖父と親父は頭を抱えていたが、俺は未だに事の重大さを理解できていなかった。
「なんで入ったかのう……」
祖父はひどく衝撃を受けた様にため息をついた。
進入禁止のロープが見えなかったのかと注意されたが、俺が無視して入り込んだと言えばすぐまた拳骨が飛んでくる。
「仕方ないの……」
俺が拳骨の痛みに耐えていると、祖父は徐にSの近くに歩み寄った。
それを見た伯父や親父までも祖父に続くが、祖父が「〇〇、目をつむっとれ」と一言告げれば、突然三人係でSを足蹴にし始めたのだ。
「くそ、くそ、許してくれ」と泣きながら足蹴にする伯父と「出てけ!」と意味深な事を繰り返す祖父。
そして、足蹴にされても「キョオオオオ!」と叫び続けるSという、狂気の光景を目の当たりにした俺は、これは何処か白昼夢での出来事なのではと、意識が遠のいていく感じがした。
否、実際に俺は意識を失っていたようで、気が付けば床が板張りの部屋に横になっていた。
すぐに起き上がろうとしたが、体のバランスが悪く、転がってしまう。
手足の自由が効かない事から視線を落とすと、自分の手足が縛られている事に気が付く。
ここは何処だろうと顔を上げれば、神社のお堂の様な空間に様々な祭具が配置されている。
その傍ら、俺と少し離れた場所に同じようにして縛られたSが寝っ転がっているのが見えた。
更に、部屋の最奥にゆらゆらと立ち上る炎が見え、その手前に神主さんらしき風貌の人が何やらブツブツと言霊を綴り、大麻(おおぬさ)を時折振っていた。
加えて、その後列に祖父達が鎮座して祈祷を捧げている様に見える。
「…親父?」
キョオオオオ!!
これぞ洒落怖って感じで面白かった
洒落怖入り候補ですね
個人的にはやっぱり小説っぽいのよりこういうテイストのほうが好きだな
Youtubeで聴きました。面白かったです。
おらこんな村嫌だ~。
似たような怖い話は、過去たくさん読んだり聞いたりしたから、なんとなくこうなるんだろうなと先は読めた。どんなに手を尽くしても助からない、足を踏み入れた段階で、死亡フラグが立つ人間が出る。命にも関わる話ような話なのに、大事な家族にきちんと伝えない他所の土地から嫁いできた嫁さんたちは、ブチ切れるのは当たり前。そんな、ツッコミどころ満載のはずの定番中の定番怪談でありがなら、ここまで読ませる文章力と表現力と破壊力。
親父さんの言う通り、「冗談だよ。冗談。」 「作り話だよ。当たり前だろう。」とビクビクしている。俺も田舎者。
凄く良かったです。
五回目の12年で60年。父親は5歳だったとしても、65歳、祖父は80~90歳。
高校生の俺は16~18歳。
かなりの高齢での息子なんだね。
↑別に父親、祖父が5回全部やったとは書いてなくね?
家族とか親族、村の人間って書いてあるんやで祖父の父とかがやったんじゃね
間違ってたらすまん
じわりじわり・・・と、怖さが増していきました。
方言がまんま地元と同じだから更に怖い
こええええええええええええ
キヨオオオオオオオオ!!!!!!!