ごめんくださ~い
投稿者:ねこじろう (147)
これは私が小学校高学年の時の夏休み中のことだったと思う。
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私の両親は二人で食堂をやっていたから、朝出ていったら夜遅くならないと家には帰って来なかった
だからいつも二階建ての家にいるのは、1歳下の妹と私の二人だけだった。
その日は朝からひどく雨が降っていて、私も妹も二階の部屋で二人、コミックを読んだりゲームをしたりして遊んでいた。
ちょうど昼頃だっただろうか。
その時分には朝からの雨も、ようやくあがり始めていたと思う。
すると、
「ごめんくださ~い!ごめんくださ~い!」
階下から女の人の妙に甲高い声がした後、当時飼っていた柴犬のジョンの吠える声が聞こえてきた。
その声は二階にまではっきり聞こえてきたから多分外からではなく、玄関口にまで入り叫んでいるのだろう。
物騒と思われるかもしれないが、昔の田舎というのは、玄関に鍵とかはかけていなかった。
「ごめんくださーい!誰もいないの~!?」
私も妹も面倒くさかったから無視していたが、あまりにしつこいから私は部屋の襖を開け、階段の踊り場からこっそり階下を見た。
玄関口には、花柄のエプロンをした太ったおばちゃんが立っている。
右手にはタッパを持っている。
このおばちゃん、私には見覚えがあった。
うちの裏の大きな家に一人で住んでいる人だ。
以前は私と同じ年齢の息子と一緒に暮らしていたのだが、不幸にも交通事故で息子を亡くしてしまい、それ以来、人が変わったようになってしまった。
まず笑顔が見られなくなり、道ですれ違っても全く挨拶しなくなった。
それからは門の前にジョンの糞があったと文句を言いに来たり、子供の声がうるさいと、夜中にえらい剣幕で怒鳴り込んできたこととかもあった。
母は「あの人、うちが息子も娘も、すくすく育って幸せそうにしているから、僻んでるのよ」と言って笑っていた。
おばちゃんは一頻り声かけをすると、
「誰もいないの~!?全く無用心なんだから、、だったらちょっとお邪魔しますよー」
と一人で怒りながら、何とサンダルを脱いで勝手に廊下に上がると、真っ直ぐ奥の居間へと歩いていってしまった。
唖然としながら見てると数分後、また玄関まで戻ってきてサンダルを履いてさっさと出ていった。
─あのおばちゃん、何してたんだろう?
私は首をかしげながら階段を降り、居間に行ってみる。
部屋は別に荒らされた形跡とかはなく、朝方の状態のままに見えた。
不思議に思いながら部屋を出るとき食卓のテーブルを見ると、菓子パンが数個置いてある。
そしてその手前にはグラスが二つ置いてあった。
中にはオレンジジュースが入っている。
母は私や妹のために、おやつとかジュースとかをテーブルの上に置いてから、仕事に出かけていた。
ちょうど喉が乾いていた私がそのジュースを飲もうとグラスを持ち、口元に運ぼうとした時だ。
おばちゃんが犯人か…
恐ろしすぎる…
ジョン可哀想
おばちゃんはその後どうなっちゃた?
けしからんBBAですな
正に鬼畜