リビングで昼寝
投稿者:with (43)
中2の時だったか、一人で留守番していた時の体験。
授業が午前中で終わって帰宅すれば、母は友達とお茶をした後に買い物があるからと出かけて、俺は夕飯時刻まで一人で留守番する事になったんだけど、こんな時間帯に見たいテレビもないし、当時はyoutubeなんて流行ってなかったから本当に退屈だった。
勿論、スマホもまだ発売してないし、ガラケーも中学生に普及していない時代だから適当にテレビを点けたままにしていると、それが子守唄になったのかリビングの絨毯の上で気づけば寝入ってた。
暫くして、目が覚めたのは偶然だろうか。
ふと目を開けると少し日が傾いていて焼けた日光が部屋を照らしていた。
それでもまだ眠たかったから日差しを避けて体を横に捻るんだけど、何か違和感を覚える。
その違和感の正体を確かめる為に、目を開けて部屋の様子をうかがっていれば、半開きのドアで視線は止まった。
人が通れる程に開いたままのドア。
ちょうどリビングに寝転んでいるとその開いたドアの隙間から廊下の天井が見えるんだが、ドアの頭上の隙間から青白い顔の女がじっと俺の事を見ていた。
瞬時にヒュンと金玉が縮み上がる思いだったが、俺がその女と目を合わせると、女は薄っすらと口角を上げてドアの影に隠れていく。
俺は咄嗟に体を起こしてドアまで駆け寄って、力いっぱいドアを開けた。
だけど、そこには誰も居なかった。
人が隠れられるスペースや死角も、トイレや洗面所に入った形跡も見当たらなかったが、俺は廊下をトボトボと歩きながら警戒心を露にして家の中を見渡した。
そんな時「ガチャ」と玄関から音が鳴る。
玄関ドアの横は擦りガラスになってるんだが、そこには人影が映り込んでいる。
思わず気を引き締めていたが、玄関からは普通に母が入ってきたので拍子抜けだった。
「あんた、何してんのそんなトコで突っ立って」
怪訝そうに顔をしかめる母にそんな事を言われたが「まあ、ちょっと」と曖昧にぼかして俺は再びリビングに戻ってソファに寝転んだ。
まあ、たったこれだけの体験なんだが、この日以降その女を見る事は無かった。
ドアの上から覗き込んできたあの女は何だったのか今でも分からない。
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