兵隊のおじいさん
投稿者:一八 (66)
子供時代に体験した不思議な出来事です。
僕が子供の頃、家から車で30分ぐらい走った所に寺社がありました。
低い山の頂上にあり、参道を歩いて行ける名所スポットです。
僕は、休日になると父親といっしょによく寺社へ行きました。
楽しみにしていたのは、参道沿いにある屋台です。
だんご、とうもろこし、ベビーカステラなど、いろいろな食べ物が販売されています。
見て歩くだけで、楽しく感じ寺社へ行く事が好きな僕です。
しかし、参道は、約400メートルぐらいありましたが、
途中に、兵隊さんのおじいさんが座っていました。
軍服を着て正座をしていて、空き缶を置いて物乞いをしているおじいさんです。
よく見ると、おじいさんには両足がなく義足を嵌めています。
子供心に僕は、
「戦争で足を失ったんだな。可哀そうに。」
と、思ったものです。
僕と父親は、参道を通って寺社へ行くとお参りをします。
そして、再び参道を通って帰る訳ですが、帰り道には兵隊のおじいさんがいません。
僕は、父に言いました。
「あの兵隊のおじいさん、いないよ。帰ったのかな?」
すると、父から衝撃の言葉を言われます。
「お前、何言っているんだ?兵隊なんて何処にいるんだ?」
僕は、すぐに言います。
「朝ここ通る時、この場所に座ってるおじいさんだよ。」
父は、怒ったように、
「そんなおじいさん、最初からいないぞ。お前、誰の事言ってるんだ。」
家に帰ると、母からも言われバカにされた僕です。
今思うと、あのおじいさんは幽霊だったのでしょうか?
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