ヒッチハイクの女性
投稿者:カンニバル (7)
声では無く、頭に中に直接囁く様な女性の声を感じました。
顔を上げるとあの時、車に乗せた女性が目の前に立っていたのです。
ゆっくりと手を差し伸べてきたので怖くなって枕を投げつけました。
すると、透明人間のように枕が女性の体をすり抜けたのです。
どうしてよいのか判らなくなり、身動きが取れません。
女性は一歩も動く事無くただ、手を差し伸べています。
顔を見ると青白い顔をしているのですが幽霊とは思えない優しい表情をしていました。
私に恨みがあって現れたのでは無いと確信しました。
「何があったの?」
恐る恐る聞いてみると女性がゆっくりと話し出したのです。
「あたしは…自殺したのではありません」
「彼氏に殺されました」
「優しいあなたなら判ってくれますよね?」
そういうとすっと消えていったのです。
急いで電気を点けると女性の姿は無く、スイッチも完全に乾いていました。
あの女性は私に殺されたことを伝えたかったに違いないと確信しました。
床を見るとそこには見た事も無い鍵が落ちていました。
車のナンバープレートが記されたキーホルダーが付いています。
急いで警察に電話をしたのですが全く話を信じてくれません。
連絡先だけを聞かれて電話を切られてしまいました。
この鍵は絶対に無くしてはいけないと引き出しに閉まっておく事にしました。
1週間ほど経った休みの日の事です。
インターホンが鳴ったので出てみるとスーツ姿の男性が2人立っていました。
「長野県警の者ですが話を聞かせて貰えませんか?」
私はあのロープを見た事や、女性をヒッチハイクしたこと、そして部屋に幽霊が現れた事など全てを正直に話しました。
そして、あの鍵の話もして証拠品として警察に預ける事にしたのです。
その後は何もない時間を過ごしていたのですがどうしても気になって、あのロープがあった場所に花を持っていく事にしたのです。
手を合わせて線香をあげて警察に報告したことを伝えました。
すると耳元で「ありがとう」と女性の声がしたのです。
辺りを見渡しても女性の姿はありません。
良い終わり方で良かったわ~
月に1度釣りに行けるこの主人公は精神的、経済的にも余裕があって羨ましいと思ってしまった。
月いちの釣りのついでに供養するなんて素敵
優しくて、勇気のある方に会えて良かったです。