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邪神 白猫さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

【ほん怖】真夜中に鳴り響くナースコール
長編 2022/07/24 05:34 6,170view

 205号室のナースコールが鳴り響くのは、必ず火曜日の午前1時47分なのだ。こんな偶然、そう何度もあることなのだろうか……?
 そんな状況を不自然に思いつつも、それ以上にもっと不自然に感じたのは吉田さん達の態度だった。

(何で、誰もこの事に触れないの……?)

 勤務経験の浅い私がこの事に気付けたくらいなのだから、間違いなく吉田さん達も気付いているはず。なのに、誰一人としてその事を口にする人はいなかったのだ。
 なにより、機械の故障だというのなら直せば済む話なのに、放置されていること自体がおかしい。

(経費がない、なんて事はないはずだし……。どうしてあの部屋は使われてないんだろう……?)
 

「……吉田さん。205号室って、どうして使用されてないんですか?」

 私の言葉にピタリと手を止めた吉田さんは、看護記録から顔を上げるとゆっくりと私の方を見た。

「どうしてかしらね……。ナースコールが壊れてるからかしら」

「あれ、直さないんですかね?」

「さぁ……、私にはよくわからないけど。今のところ病室も足りてるし、後回しにでもしてるのかもしれないわね」

「そうなんですかねぇ……」

「…………。宮野さん。一応言っておくけど、205号室には絶対に入っちゃダメよ」

 念を押すようにそう告げると、再び看護記録へと視線を戻した吉田さん。その有無を言わせぬ態度にそれ以上の追求ができなくなってしまった私は、吉田さんに倣《なら》って黙々と看護記録を整理していった。
 程なくして仮眠室へと向かった吉田さんを見送ると、私は一人残されたナースステーションで油を売っていた。

 だいぶ業務に慣れてきたせいもあってか、仕事のスピードも上がり暇になってしまったのだ。

(話し相手もいないし、暇だなぁ……。1時46分か……)

 壁に掛かった時計で時刻を確認した私は、今の内にトイレでも済ませておこうと椅子から立ち上がった。
 そのままナースステーションを出てトイレに向かって廊下を歩いていると、チラリと見えた人影に気付いた私はピタリと足を止めた。

(……松居さん?)

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