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邪神 白猫さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

【ほん怖】真夜中に鳴り響くナースコール
長編 2022/07/24 05:34 6,164view

 吉田さんの優しさに恐縮しながらも小さく頭を下げると、ナースステーションを出て行こうとする吉田さんの姿を見送る。
 と、その時──突然鳴り響いたナースコール。

 その呼び出しに応じようとスイッチに手をかけたその時、ピタリと固まった私は小さく声を漏らした。

「……、え?」

 目の前で点滅しているのは確かに205号室で──私がこの病院に勤め始めてから、この部屋が使用されているところは一度も見たことがなかった。

(もしかして、松居さんみたく誰かが部屋を間違えてる……?)

「──宮野さん。その部屋はいいのよ」

「…………え?」

 私の肩をポンッと軽く叩いた吉田さんは、そう告げると神妙な面持ちを見せた。

「あ、あの……。この部屋って、誰も使ってませんよね?」

「ええ、そうね。この部屋はここ1年ほど使われていないの。……たまにナースコールが鳴ることがあるけど、気にしなくていいからね」

「え……っ。あのぉ、それってどういう……?」

「誤動作かしらねぇ……。たまに鳴るんだけど、見に行っても誰もいないのよ。今は病室に鍵も掛けてあるから、誰かが間違って病室に侵入してるなんてこともないから安心して」

 そう言ってニッコリと微笑んだ吉田さんは、「それじゃ、少しの間よろしくね」と告げるとナースステーションを後にした。その後ろ姿を静かに見送った私は、一人残されたナースステーションで未だ点滅し続けている205号室を見つめた。

「誤動作か……何で直さないんだろう」

 もっともな意見を溜め息混じりに小さく呟くと、私は205号室の点滅を切ると看護記録の整理に取り掛かった。

 こうして少しのハプニングに見舞われながらも初めての夜勤を終えた私は、それから日勤と夜勤とで目まぐるしく入れ替わるシフトに奔走する毎日を送っていた。
 想像していたよりもハードな毎日に疲れ果てながらも、その充実さに身体の疲れに反して心は穏やかだった。

 そんな私の唯一の気掛かりといえば、やはり時折り鳴り響く205号室のナースコールだった。
 何度か夜勤業務を経験していく中で気付いてしまった、ある法則──。

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