真夜中にも関わらず部屋中に響き渡る程の雄叫びを上げた俺は、溢れ出る喜びを噛み締めて拳を突き上げた。
『──さっきから、うるせぇーぞ! 何時だと思ってんだ!』
「うわっ、……すいません!」
隣りからの苦情に焦って謝罪をすると、薄い壁に考慮して枕に顔面を突っ伏す。
『やった……っ! やったーー!!!』
堪えきれない喜びにジタバタともがくと、枕に伏せたままの俺はニンマリと微笑んだのだった。
それから3日が経過する頃には再生回数は100万を超え、俺の予想を遥かに上回る程の人気となったあの動画。その再生数を確認するたび笑顔を浮かべながらも、俺はあの日見た悪夢に毎晩のように魘《うな》され続けていた。
シチュエーションこそ特に変化はないものの、日を追うごとに段々と俺の元へと近付いてくる血だらけの女性。夢とわかってはいても、やはり恐ろしい。
「マジで、段々と近付いてきてるんだよ……。しかもさ、よく耳を澄ましてみると何か聞こえるんだよ」
「でも夢だろ? 気にし過ぎだって」
「いや、でもさぁ。近付いてくるって不気味だろ?」
同じ学部の友人である輝《あきら》にそう告げると、「意外と怖がりなんだな」と笑われて少しムッとする。
俺は決して怖がりなどではない。むしろ真逆のタイプだ。そんな俺が怖がる程なのだから、あの悪夢がよほど恐ろしいのだ。
「お前は見てないからそんな事が言えるんだよ」
「も~、怒るなよ慶太ぁ。……あっ! 100万再生記念に、今から飲み行こうぜ!?」
「…………。お前の奢りならな」
「勿論、俺が奢るって!」
俺の肩に腕を回しながらニッコリと微笑む輝を見て、それにつられて笑みを零した俺は交差点で足を止めるとビクリと肩を揺らした。
そんな俺の様子に気付いた輝は、俺の顔を覗くと口を開いた。
























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。