そう小さく声を零すと、ベッドの上に座ったまま壁にもたれる。悪夢を見たせいか寝汗が酷く、グッショリと濡れたTシャツが肌に張り付いて気持ち悪い。
「最っ、悪……」
未だかつて、心霊スポット帰りに悪夢に魘《うな》されるなんてことは一度も経験したことがない。それほどに、自分で思う以上にあのトンネルが怖かったのかもしれない。
「……まぁ、夢で良かったけど」
思わず弱気な本音が零れ出た俺は、濡れたTシャツを脱ぎ捨てるとその足で風呂場へと向かった。
(再生回数、どこまで伸びたかな……)
頭からシャワーを浴びながら、そんなことを考えて鼻歌を口ずさむ。
先程見た悪夢のことなどすっかりと忘れ去った俺は、就寝前に投稿した動画の再生数のことで頭がいっぱいだった。
(あれから6時間は経ってるから、1000くらいはいってるといいなぁ)
そんな期待を胸にシャワーから上がると、パソコンの前に座って再生回数を確認する。
「──えっ!? 3万再生!!? ……嘘だろっ!!?」
驚きに思わず椅子から立ち上がると、目の前に映し出されている画面を見て絶句する。
「……マジ……っ、か……」
過去3年間で俺が投稿してきた動画の中で、一番人気なものでも100万に届くかどうかだったが、たったの6時間で3万とは驚きの再生数だ。このままの勢いでいけば、1週間で100万も夢ではない。
これは、間違いなく当たりだったようだ。
「……っ、しゃぁああーー!!!」
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